みすず書房

ジャン・ジュネ

Jean Genet

1910年、パリ生まれ。翌年、母により児童養護施設救済院に遺棄され、里親のもとで育てられる。幼少期より非行を繰り返し、26年、メトレ矯正訓練所に収監される。29年、志願兵として中東、マグリブ方面に駐屯。36年、軍隊を脱走し国外を放浪、翌年帰国。42年、フレーヌ中央刑務所在監中に詩集『死刑囚』を自費出版、同年、小説『花のノートルダム』、翌年『薔薇の奇蹟』を執筆。45年より48年にかけて『葬儀』『ブレストの乱暴者』『泥棒日記』、戯曲『女中たち』ほかを執筆。49年、コクトー、サルトルらの請願により大統領最終恩赦を獲得、以後監獄から遠ざかる。55年から61年にかけて戯曲『バルコン』『黒んぼたち』『?風』、評論『アルベルト・ジャコメッティのアトリエ』を執筆、発表。67年暮れから68年春まで日本をはじめ東方に旅し、同年帰国後にアメリカ旅行。70年、ふたたび渡米、ブラックパンサー支援の講演活動を行う。また同年秋にはヨルダンのパレスチナ・キャンプを訪問、以後パレスチナ・ゲリラとの親交を深めた。83年、『シャティーラの四時間』を発表。86年、『恋する虜』刊行前月の4月に死去。なお、91年刊行のガリマール版全集第6巻『公然たる敵』は60年代後半以降に活字化された政治的テクスト・対話の集大成である(以上いずれも邦訳あり)。2010年に生誕百年を記念して『判決』刊行(宇野邦一訳、みすず書房、2012)。