みすず書房

愛はあまりにも若く【新装版】

TILL WE HAVE FACES

判型 四六判
定価 3,080円 (本体:2,800円)
ISBN 978-4-622-01128-6
Cコード C0097
発行日 1976年5月30日
備考 現在品切
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愛はあまりにも若く【新装版】

プシュケー〈心〉とアモール〈愛〉の神話は、ローマの作家アプレイウスの『黄金のろば』にある数々の話のなかでもとりわけ有名である。この神話を、『ナルニア国ものがたり』の作者C.S.ルイスが、天馬空をゆくような想像力でえがいた華麗なファンタジー。
——小さな国グロームには三人の王女があった。末娘のプシュケーはことのほか美しく、その姉オリュアルは彼女に限りない愛を注いだ。しかし悲劇は、彼女のあまりの美しさゆえに起こる。〈灰色の山〉の神に献げられ、獣の花嫁とされるのである。不幸なプシュケー……オリュアルは一つのランプを妹に与えた。神の正体を見とどけさせようと。そして破局が——。

このファンタジーは、プシュケーを過酷な運命に陥れた神を告発しようと、姉オリュアルがギリシア語で一巻の巻物を著したとの形式から成る。ルイスの眼は、アプレイウスの紙背にも徹する独創性を示している。そして魅惑的な物語の展開のなかに、愛とは、良心とは、神とは、人間の真の姿とは、との問いかけが響いてくるのである。
《ファシネーションという語のラテン語の原義にある恐れ、驚き、そして魅力の混ざりあった印象を、いかなる小説にもまさって人の心に焼きつける物語》(ニューヨーク・タイムズ)

書評情報

鈴木ユリイカ
明日の友2011年第195号