みすず書房

「これほど広大な視野をもった批評家がいったいどこにいただろうか?——『読書日記』の中でかれはさまざまな文学、さまざまな時代を自由に動きまわる。マルローとフランツ・フォン・バーダー、カーブスの書とコンスタンティン・カヴァフィス、サン=マルタンとジャン・パウル、そのいずれにおいてもかれはしごくなめらかに入口を見つけて、個々の現象のいずれにおいても、それを精神世界につなぐ新しい関連をさし示す。あらゆる名前が想起をかき立て、かれの新しい探求意欲を解き放つ……。クルティウスにとって歴史とは、偉大なる精神のわれわれ生者への絶えざる呼びかけであり、文学において言葉として美の祝福を与えられた生命であり知恵であった。“魂の世界は共感の体系に組織されている。”この体系を全世紀を通じて追究することが、かれを幸福にしたのである。」(M.リュヒナー)
加えて、マックス・ヴェーバー『職業としての学問』、カール・マンハイム『イデオロギーとユートピア』のそれぞれに関する、クルティウスの深い意識を示すみごとな書評を、この学者・批評家のもう一つの側面として、採録・紹介する。