至福千年
西欧のあけぼの
L’AN MIL
「至福千年」は、キリストが再臨して千年間の支配を執行し、そののち最後の審判をくだすという一種の終末説をその背景にもっている。そして本書があつかう西暦千年を中心とした時代こそまさに、至福千年説によって喚起された不安・恐怖がクライマックスに達した時代であったことを、フォシヨンはみごとな筆致で追求してゆく。また、オットーのゲルマン支配体制による世界帝国建設のこころみと挫折も、彼の眼差からそれることはない。西暦千年の歴史的情況を、壮大な全体図として生き生きと描き切り、そのなかから、ロマネスク芸術が生まれ、そのヨーロッパ中世が成熟してゆくありさまを、フォシヨンはすぐれた叙事詩のおもむきをもって再現する。
「西欧の芸術」、「形の生命」などによって著名な美学・美術史家であるアンリ・フォシヨンが同時に一流の歴史家でもあることを、この著者はみごとに証明している。
「至福千年」の著訳者:
- アンリ・フォシヨン
- Henri Focillon
- 1881年、ブルゴーニュ地方のディジョンに生れる。エコール・ノルマルで古典古代文学を学ぶ。1913年、リヨン大学近代美術史講座を担当、同時にリヨン市立美術館館長に就任。1925年、エミール・マールの後任として、パリ大学の古美術学及び中世芸術史講座主任教授となる。1933年、イエール大学に招聘。1938-39年、コレージュド・フランスで講義。第二次世界大戦の勃発とともにアメリカに移住。1939年よりイエール大学で美術と古美術学講座を担当。戦中は自由フランスのスポークスマンとして活躍したが、フランス解放を待たず、1943年、ニュー・ヘイヴンで歿。邦訳されている著作としては、本書のほかに、『ロマネスク彫刻』(1931、中央公論社、1975)、『形の生命』(1934、岩波書店、1969)、『西欧の芸術』(1938、鹿島出版会、1970-72)がある。
- ※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
- 神沢栄三
- かみざわ・えいぞう
- 1930年富山県に生れる。1959年東京大学大学院修了。現在 名古屋大学文学部教授。訳書『ふらんすデカメロン』(共訳、筑摩書房、1964)、ブロック『封建社会』1,2(共訳、みすず書房、1973-77)、フォシヨン『西欧の芸術1、ロマネスク』(共訳、鹿島出版会、1970)ブローデル他『地中海世界』1.2(みすず書房、1990、92)『フランス中世文学集』1-3(編訳、白水社、1990-91)ほか。
- ※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
この本の関連書
「至福千年」の画像:
「至福千年」の書籍情報:
- A5判 タテ210mm×ヨコ148mm/168頁
- 定価 2,940円(本体2,800円)
- ISBN 4-622-01512-9 C3070
- 1971年6月5日発行
この本を購入する
<在庫僅少です>
お問い合わせください