みすず書房

法社会学の基礎理論

GLUNDLEGUG DER SOZIOLOGIE DES RECHTS

判型 A5判
頁数 624頁
定価 7,920円 (本体:7,200円)
ISBN 978-4-622-01764-6
Cコード C3032
発行日 1984年5月1日
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法社会学の基礎理論

本書の名は、法社会学の古典的名著として法律関係者にあまねく知られている。しかし、その内容の深さと広さのゆえに翻訳は至難のわざとされ、これまでいくつかあった試みも、冒頭の部分訳のみで終わっていた。この明快な初の完訳によって、その全貌は、ようやくわれわれの前に姿を現わすのである。
エールリッヒ(1862-1922)は、労働争議の発生、カルテル・トラストなどの企業組織の出現、商取引の高度化といった経済社会の生み出す諸問題に直面して、伝統的な実用法律学ではこれに対応しきれないことを悟り、法の事実に関する真の学問としての法学の構築をめざした。その努力の結晶が、彼の開拓した法社会学であり、本書なのである。
法とは何か、法学とは何か、という問いを歴史的・社会学的に追究して、著者は古代ローマから20世紀初頭に至るヨーロッパ法文化の発展を根本資料にもとづいて跡づけることになった。ローマ法、英米法、普通法法律学に対するすぐれた概観が与えられ、組織の内部秩序・人間の行為の規範としての法、国家制定法と国家外的法との関連などへの鋭利な考察に満ちている。また、社会法、高度資本主義下の取引法、利益考量論、裁判官による自由な法発見など、今日その意義がますます高まっているものも本書をその源流としているのである。
エールリッヒの生きた時代と同じく、現代、法をめぐる状況は大きく揺れ動いている。公害、環境、医療、消費者保護等々、従来の法システムが予想しなかったような問題が新たな解決を求めているのである。法知識を総動員して新しい時代の要請に応えようとしたエールリッヒの本書は、現在の法状況にも示唆するところ大であろう。

目次

はじめに
1 実用的法概念
2 社会的組織の内部秩序
3 社会的組織と社会的規範
4 社会的規範強制と国家的規範強制
5 法の事実
6 裁判規範
7 国家と法
8 法規の形成
9 法規の構造
10 正義の内容
11 ローマの法律学
12 イギリスの法律学
13 初期の普通法法律学
14 普通法法律学の歴史的傾向
15 法律学の仕事
16 国家法
17 国家と社会における法の変遷
18 法曹法の制定法化
19 慣習法の理論
20 法社会学の方法(I 法史学と法律学)
21 法社会学の方法(II 生ける法の探究)

訳註
訳者あとがき
エールリッヒ略歴・主要著作一覧
索引

[以上は各章表題のみの目次抄です]