みすず書房

イデーン III

現象学と、諸学問の基礎

IDEEN ZU EINER REINEN PHANOMENOLOGIE UND PHANOMENOLOGISCHEN PHILOSOPHIE

判型 A5判
頁数 208頁
定価 5,060円 (本体:4,600円)
ISBN 978-4-622-01920-6
Cコード C3010
発行日 2010年11月10日
備考 在庫僅少
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イデーン III

現象学的還元とノエシス・ノエマ的構造を論じた第I巻、真なる現実の構成、世界定立の解明に向けた分析がなされる第II巻につづいて、この第III巻「現象学と、諸学問の基礎」では、現象学が他の諸学問に対してもつ、独自の超越論的な位置づけが解明される。
「現象学的な諸分析は、一方において、直観的な本質分析の諸部分に即しながら、探求されている諸成果の方法と様式を例示したわけであったが、しかし他方において、それらの現象学的な諸分析は同時に、相互に噛み合ったかたちで土台づけられている実在性の諸範疇であるところの、物質と、身体と、心と、心的自我といったものの本質を、その根元源泉から汲み取り、したがって、それらに対応する諸学問の区域のそのようにして規定された原的な意味を把捉することにも役立ったのであった。(…)その結果、こうした諸学問の方法の原理的特有性が規定されることになり、たとえば、どれほどまで、物理的‐自然科学的方法と心理学的方法とが並行的に進行しうるのか、また、どれほどまで、両者は根本的に異なったものであらざるをえないのか、といったことが、洞察にあふれた理解へと持ち来たらされることになるのである」

現代思想の原点、ついに邦訳完結。ハイデガーからメルロ=ポンティまで通ずる、現象学的方法論の根源が、30年を経て完成する。

目次

凡例

純粋現象学と現象学的哲学のための諸構想(イデーン)

第三巻 現象学と、諸学問の基礎
第一章 実在のさまざまな諸領域
1 物質的事物、物質的知覚、物質的自然科学(物理学)
2 身体、身体の統握、身体論
a 身体の特有な諸規定
b 身体に関する学問、すなわち、身体論
3 身体論と心理学との境界区別
4 自然科学的考察における「連帯的共同社会」
第二章 心理学と現象学との間に成り立つ関係
5 諸学問に対する現象学の関わり
6 経験的な諸学問の存在論的な基礎
7 領域的な諸概念と、「類」‐諸概念
8 合理的心理学と現象学——実験的心理学
9 経験の区域に対する現象学的記述の意義
10 ボルツァーノとロッツェとブレンターノの諸著作に対する現象学の関わり
11 物理学と心理学が、それらの存在論的な基礎に対してもつ諸関係の差異。両学問における記述の意義
12 合理的心理学と現象学との関わりについてのさらに立ち入った解明
第三章 現象学と存在論との関わり
13 現象学的研究の領野
14 もろもろの存在論が現象学のなかへと関係づけられ組み込まれるということ
15 存在論的な諸確認が現象学にとってもつ意義と、両学問における態度の差異性
16 ノエマと本質
17 存在論的な諸概念がもつ心理学に対する意義
第四章 解明の方法
18 独断的な諸学問には解明が必要だということ
19 概念の素材の解明
a 論理的‐形式的な諸概念
b 領域的な諸概念
c 素材上の諸特殊態
20 判然化と解明

付論
付論一 1912年の第二巻の草案
1 心の構成。(感情移入)
2 純粋自我を実在化する統握
3 自然科学的な態度と精神科学的な態度との必然的な区分に対する最初の指示
4 心と身体との結合
a 諸感覚の局所限定の領野としての身体
b 意志の機関としての身体
f 他の諸感覚と比較した諸運動感覚の構成的役割と、身体構成と事物構成との間の関係
5 独我論的な経験と、諸主観共存的な経験
6 構成の問題の意義。現象学と存在論
付論二 15頁に対する付論(人格的自我と身体)
付論三 25頁に対する付論(事物の同一性と心の同一性)
付論四 第7‐9節に対する付論
訳注
訳者あとがき
索引

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