ギリシァ人と非理性
THEGREEKS AND THE IRRATIONAL
ギリシァ文化は、〈理性的精神の勝利〉という、人類の歴史にかつて例を見ない現象の果実であった、と考えられてきた。そこには、原始心性や非理性的なもののはたらく余地はなかった、ともいわれる。
だが、ギリシァ人は、人間の経験や行動において非理性的な要素がもつ重さについて、盲目だったのだろうか。「すべての人間の精神のなかには、原始心性の抜き難い根が牢固として存続している」(レヴィ・ブリュール)のであるし、「原始心性は、現代人の精神活動を充分見事に描写している」(ニルソン)のであってみれば、ギリシァ精神の歩みを、たんに非神話化・合理化の進展という面からのみとらえることは、もはやできないことではあるまいか。
ホメロスの時代から紀元3世紀までの厖大な文学的著作の分析を通して、ギリシァ人の宗教的経験における、きわめて重要なしかし従来は知られることの少なかった面に、著者は新しい光を投げかけている。広い視野と深い洞察に満ちた本書は、ギリシァ古典学の新しい方向を示した画期的名著として知られている。
宗教学、社会学、人類学、心理学などにおける近年のめざましい成果を援用しつつ古代人の精神世界に迫った本書は、人間の行動の根源を理解することに関心をもつ人々すべてに大きな示唆を与えるであろう。
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「ギリシァ人と非理性」の書籍情報:
- A5判 タテ210mm×ヨコ148mm/424頁
- 定価 6,825円(本体6,500円)
- ISBN 4-622-01964-7 C3010
- 1972年12月1日発行






