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ギリシァ人と非理性

THEGREEKS AND THE IRRATIONAL


ギリシァ文化は、〈理性的精神の勝利〉という、人類の歴史にかつて例を見ない現象の果実であった、と考えられてきた。そこには、原始心性や非理性的なもののはたらく余地はなかった、ともいわれる。
だが、ギリシァ人は、人間の経験や行動において非理性的な要素がもつ重さについて、盲目だったのだろうか。「すべての人間の精神のなかには、原始心性の抜き難い根が牢固として存続している」(レヴィ・ブリュール)のであるし、「原始心性は、現代人の精神活動を充分見事に描写している」(ニルソン)のであってみれば、ギリシァ精神の歩みを、たんに非神話化・合理化の進展という面からのみとらえることは、もはやできないことではあるまいか。

ホメロスの時代から紀元3世紀までの厖大な文学的著作の分析を通して、ギリシァ人の宗教的経験における、きわめて重要なしかし従来は知られることの少なかった面に、著者は新しい光を投げかけている。広い視野と深い洞察に満ちた本書は、ギリシァ古典学の新しい方向を示した画期的名著として知られている。
宗教学、社会学、人類学、心理学などにおける近年のめざましい成果を援用しつつ古代人の精神世界に迫った本書は、人間の行動の根源を理解することに関心をもつ人々すべてに大きな示唆を与えるであろう。


「ギリシァ人と非理性」の著訳者:

E・R・ドッズ
Eric Robertson Dodds
北アイルランドに生まれ、オックスフォード大学にて教育をうける。1924年から1936年まで、バーミンガム大学ギリシァ語教授。1936年から1965年まで、オックスフォード大学ギリシァ語欽定講座担当教授。主著は、本書のほか、『新プラトン派抜萃集』(2巻、1923-1924)『プロクロスの神学綱要』(1933)『エウリピデスの「バッカイ」注釈』(1944)『プラトンの「ゴルギアス」注釈』(1959)『不安の時代における異教徒とキリスト教徒』(1965;日本基督教団出版局、1981)『古代における進歩の概念』(1973)など。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
岩田靖夫
いわたやすお
1932年生。東京大学文学部哲学科卒業。東北大学名誉教授、仙台白百合女子大学教授。著書 『アリストテレスの倫理思想』(岩波書店、1985)『神の痕跡』(岩波書店、1990)『倫理の復権』(岩波書店、1994)『ソクラテス』(勁草書房、1995)『神なき時代の神』(岩波書店、2001)『ヨーロッパ思想入門』(岩波書店、2003)。訳書 ガスリー『ギリシア人の人間観』(白水社、1978)プラトン『パイドン』ハイデガー『形而上学人門』(創文社、2000)。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
水野一
みずの・はじめ
1928年生。北海道大学文学部哲学科卒業。元北海道大学文学部教授。2001年歿。著書『西洋哲学の歩み』(共著、小峯書店、1966)。訳書 バウラ『ギリシア人の経験』(共訳、みすず書房、1978)。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

この本の関連書


「ギリシァ人と非理性」の画像:

ギリシァ人と非理性

「ギリシァ人と非理性」の書籍情報:

A5判 タテ210mm×ヨコ148mm/424頁
定価 6,825円(本体6,500円)
ISBN 4-622-01964-7 C3010
1972年12月1日発行

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