みすず書房

交換のはたらき 2

物質文明・経済・資本主義 II-2

LES JEUX DE L’ECHANGE

判型 菊判
頁数 464頁
定価 8,030円 (本体:7,300円)
ISBN 978-4-622-02054-7
Cコード C3330
発行日 1988年7月1日
備考 現在品切
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交換のはたらき 2

ブローデルの3層構造をなす建築物のうち、『交換のはたらき』第2分冊は、とくに3階部分に光を当てる。3階とは、人工的で複雑な仕組をそなえた高度な経済活動、ブローデルのいう〈資本主義〉のことでる。
産業革命以前の世界における〈資本主義〉の住みかは、まずもって商業であった。そのうちでも交換の盛んな場所に〈資本主義〉はもっとも自分に適した場を見出す。世界を股にかける銀行や商社の活動である。フィレンツェの商人はイギリス国王に軍資金を用立て、大陸の工房に必要なイギリスの羊毛を一手に握る。ジェノヴァ人はピアチェンツァの大市によって、国際的取引と支払いの多様なオペレーションを集中管理し、手形交換を組織する。ブローデルは彼らの興亡を論じ、また、莫大な利益をもたらす遠隔地交易の〈資本主義〉発達に果たす役割を探る。著者はマニュファクチャーや問屋制家内工業など工業部門にも目を配りながら、最後に、社会全体の内において〈資本主義〉を支え推進する力、また〈資本主義〉を押しとどめる障害物について考察する。ブローデルの叙述はまことに、雄大なパノラマそのままである。