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現代精神医学の概念

CONCEPTION OF MODERN PSYCHIATRY


サリヴァンの名は現代精神医学において大きな光と伝説につつまれている。伝説といったのは、1892年アメリカにアイルランド系の貧しい移民の子として生れ、1949年国際会議に出席のためパリに客死するまの生涯のなかで、いくつかの転機とはなやかな活動を行いながらなお、あまりに孤立していたために、その行動と伝記的な面の謎の多いこと、そしてあの1920年代における重症の分裂病入院患者に対する積極的精神療法の成果に伴う神話である。
しかし本書をひもとくとき、そうしたすべての伝説の背後にあるサリヴァンの真に言いたかったことと、その臨床眼、臨床的経験による人間把握のゆたかさ、見事さがひたひたと感じられ、死後四分の一世紀を経た現在も、その分裂病理論は越えられてはいないのではないか、という評価をうなずかせる。
彼は精神医学をより広い文月永において把握しようとした。すなわち精神的衛生と精神病における社会的諸要因に鋭く目を向けて、その視野から精神医学の問題に立ち向かった。彼にあって個人Individualは対人的諸関係において、さらに社会的背景との関連から捉え直される。そしてここから新しい精神医学のための包括的な準拠粋が示されるのである。
本書は比類のない微妙さと精密さにも拘わらず、理論の整合性と有機的な秩序によって読者を驚かせるであろう。まことに見事な、晩年の思考と経験の体系的表現であるといえる。
フロイト以後の精神医学への独創的寄与の一つとして、レインなど現代の「反精神医学」の流れの一源流ともなった・サリヴァンの精神医学はこうして、精神病についての研究にとどまらず、一つの人間研究となったのである。


「現代精神医学の概念」の著訳者:

ハリー・スタック・サリヴァン
Harry Stack Sullivan
1892年アメリカのニューヨーク州中央部に、アイルランド系移民の子として生れる。1917年シカゴ医学校を卒業、軍医を経て1923年頃から1930年にわたりシェパード・アンド・イノック・ブラッり病院に勤務。入院中の分裂病患者に対するインテンシヴな精神療法的接近を試みた。1930年代にはニューヨークで開業医として強迫神経症の治療にあたり、38年に発刊された「サイカイアトリー」の主筆となる。社会科学との交流、政治精神医学という新しい領域への活動を行ったが、1949年国際会議に出席のためパリに滞在中客死した。著書ほ本書のほか『精神医学の臨床研究』『精神医学的面接』『分裂病は人間的過程である』『パーソナル・サイコパソロジー』『精神医学と社会科学の融合』『精神医学は対人関係論である』など。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
中井久夫
なかい・ひさお
1934年奈良県に生れる。京都大学医学部卒業。現在甲南大学文学部人間科学科教授。著書『中井久夫著作集―橋神医学の経験』全6巻別巻2(岩崎学術出版社、1984-91)『最終講義―分裂病私見』(みすず書房、1998)『西欧精神医学背景史』(みすず書房、1999)ほか多数。訳書にエレンベルガー『無意識の発見』上下(共訳、弘文堂、1980)のほか、みすず書房からはサリヴァン『精神医学の臨床研究』『楕神医学的面接』『精神医学は対人関係論である』『分裂病ほ人間的過程である』、ハーマン『心的外傷と回復』、バリント『一次愛と精神分析技法』、『エランベルジェ著作集』(全3巻)、パトナム『解離』などのほか、『現代ギリシャ詩選』『カヴァフィス全詩集』ヴァレリー『若きパルク/魅惑』などが刊行されている。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
山口隆
やまぐち・たかし
1930年に生れる。1959年名古屋大学・医学博士。ハーバード大学精神科にて研修(1967-70年)、ブリティッシュ・コロンビア・ハーバード大学精神科客員教授、日本大学講師等を経て、現在世界機会インターナショナル顧問。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

目次


第1講 基本概念
第2講 生物体としての人間とその必須環境
第3講 発達症候群
第4講 説明概念
第5講 治療概念
対人関係と人格発達の理論……パトリック・ムラハイ
訳者あとがき

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現代精神医学の概念

「現代精神医学の概念」の書籍情報:

A5判 タテ210mm×ヨコ148mm/376頁
定価 5,880円(本体5,600円)
ISBN 4-622-02191-9 C3047
1976年4月30日発行

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