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心理療法論


人間の心についてのユングの独創的な洞察は、精神科医ないし心理療法家としての実践の中から生み出された。心理療法は生身の人間に全体として関わるものであり、療法家と依頼者とが全人格をかけて関わり合う作業である。そこでは療法家の人格全体が問われることにならざるをえず、ユングのいう療法家の「世界観」が試されることになる。

本書は、心理療法上の基本的な問題についてユングが論じたものの中から、とくに重要な6論文を訳者が選んで一書としたものである。狭い意味での心理療法に限らず、世界観や倫理的な問題、また政治と心理療法の関係などのテーマにも目配りがなされている。なぜ夢に注目するのか、フロイトやアードラーとの違い、若い療法家へのアドバイス。これは「心理療法とは何か」を広い視野で、ユング自らが語ったものなのである。ユングの心理療法の原点を知るのに最適の書といえよう。

「療法家としては、どんなア・プリオリにも従ってはなりません。むしろ個々のケースにおいて具体的状況の要求することに耳を傾けて下さい。それがあなたの唯一のア・プリオリです。」(本書より)


「心理療法論」の著訳者:

カール・グスタフ・ユング
Carl Gustav Jung
スイスのケスヴィルに牧師の子として生れる。バーゼル大学医学部卒業後、チューリッヒ大学の精神科でブロイラーの指導を受ける。フランスに留学しジャネの下で研究、帰国後、言語連想実験による研究を発表し有名になる。1907年フロイトと知り合い、精神分析学の発展に寄与するが、1913年に訣別、独自の分析心理学を創始する。精神病、夢、神話などの研究を通じ無意識の構造を明らかにする。後にイメージやシンボルの研究によって人間の宗教性の問題を深く追究する。著書 Die Gesammelte Werke von C.G.Jng,WalterVerlag,Olten. 邦訳「ユング著作集」(全5巻・日本教文社、1970)『ユング自伝』(全2巻・1972-73)『分析心理学』(1976)『タイプ論』(1987)『ヨブヘの答え』(1968、以上みすず書房)『人間と象徴』(全2巻、河出書房新社、1975)『心理学と錬金術』(全2巻、1976)『無意識の心理』(1977、以上人文書院)『変容の象徴』(筑摩書房、1985)ほか多数。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
林道義
はやし・みちよし
1937年長野県に生れる。1962年東京大学法学部卒業。1968年同大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士。現在東京女子大学教授。著書『ユング』(清水書院、1980)『ユング心理学の応用』(みすず書房、1988)『ユング心理学と日本神話』(名著刊行会、1995)『父性の復権』(中央新書、1996)『主婦の復権』(講談社、1998)『図説ユング』(河出書房新社、1998)『ユング思想の真髄』(朝日新聞社、1998)『父性で育てよ!』(PHP研究所、1998)『間違える、日本人!』(対談)(徳間書店、1999)『フェミニズムの害毒』(草思社、1999)『母性の復権』(中公新書、1999)『母性崩壊』(PHP研究所、1999)ほか。訳書 ウェーバー『政治論集』1(共訳、1982)ユング『タイプ論』(1987)『ヨブヘの答え』(1988)『個性化とマンダラ』(1991)『連想実験』(1993)『転移の心理学』(共訳、1994、以上みすず書房)『元型論』増補・改訂版(1999)ノイマン『意識の起源史』(全2巻、1984-85、以上紀伊國屋書店)。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

目次

1 臨床的心理療法の基本
2 心理療法の目標
3 心理療法と世界観
4 心理学から見た両親
5 分析心理学における善と悪
6 ナチズムと心理療法

この本の関連書


「心理療法論」の画像:

心理療法論

「心理療法論」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/168頁
定価 2,310円(本体2,200円)
ISBN 4-622-03036-5 C1011
1989年2月3日発行

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