みすず書房

昭和最後の10年は、ロッキード事件に始まり、リクルート事件の渦中に終わった。64年にわたる昭和史にあって、この時代は何だったのか。政治・社会問題をはじめ、信州と東京の自然、佐久間象山や自由民権の歴史、さらに中国やパリあるいは孤島や峠への旅など、本書は多様なテーマを扱いながら、昭和の晩年をともに生き、その意味を「平成」に向けて送る。昭和ヒトケタ世代による真摯なメッセージである。
「最近、単身赴任ということの是非が問い直され始めているともきく、教育問題ひとつとってみても、父不在の家庭が子どもによい影響を与えるはずがないからだ。教育改革は、すぐれて社会制度のひずみの見直しに通ずるのです、中曾根さん」1984.4.5
「政治家の雇主などというものはないし、サラリーが支給されるわけでもない。政治家とは、本来、素人なのである。政治は素人の識見に支えられるもである。したがって、政治家とは、誰でもなれる特殊な世界なのである」1986.7.3
「近ごろ不快なことが多いなかで、つい半年前までこの国の文部行政のトップにいた前文部次官なる人物が、在任中リクルートから株を大量に譲渡されており、それが発覚するや……」1988.11.24