みすず書房

〈人物の名を語ること、それは顔を表現することである。ありとあらゆる名詞や常套句の只中にあって、固有名は意味の解体に抵抗し、私たちの発語を支えてくれるのではないだろうか。固有名は、難破した話の背後に、ある種の知解可能性の終焉のみならず、いまひとつの知解可能性の黎明をも見て取ることも可能にしてくれるのではないだろうか〉

アグノン/マルチン・ブーバー/パウル・ツェラン/ジャンヌ・ドゥロム/ジャック・デリダ/エドモン・ジャベス/キルケゴール/ジャン・ラクロワ/ロジェ・ラポルト/マックス・ピカート/プルースト/ヘルマン・レオ・ファン・ブレダ/ジャン・ヴァール。過ぎ去ったひと、同時代の哲学者、ユダヤ人作家…著者レヴィナスの人と思想につながる12の固有名たちをアルファベット順に論じた本書は、われわれの時代と民族と、それを引き受ける個人の思索の偉大な力とを十全に伝える。初の作家論集。