みすず書房

〈バロック的精神に鼓舞されて《新しいフマニタスの学》の確立へと向かっていったヴィーコこそは、フッサールによって《ヨーロッパ諸学の危機》というように認識された現代における諸科学一般の学問論的危機状況のもとにあって、わたしたちを魅了してやまないヴィーコなのである。ということは、ヴィーコがそうであったように、わたしたちもまた現在、危機からの脱出の道を諸科学の古典的パラダイムからのまさしく《バロック的》と形容するほかない偏奇と逸脱のうちにもとめつつあるということではないのか。〉

イタリアの哲学者ジャンバッティスタ・ヴィーコは、デカルト主義が席巻していた当時のヨーロッパで、人間の文化世界の理解に新たな道をひらく謎の書『新しい学』を書き上げた。ヴィーコ研究第一人者による本書は、〈バロック〉を手がかりに『新しい学』とその著者を現代に蘇らせる。ヴィーコ解読に斬新な光をあてた思考の書。