みすず書房

20世紀初頭、ノルマンディー地方紙「ラ・デペーシュ・ド・ルーアン」に「或るノルマンディー人の語録」と題された断章の連載が始まった。便箋に二枚——みずから制限を課して、研ぎ澄まされた文体で人間について綴った語録〈プロポ〉は、連載開始と同時にこれを切り抜く多くの読者を持ち、「哲学を文学に、文学を哲学に」変えた。

新しい情報を伝達すること、知識の量を殖すこと、単なる観念と論理だけの構築物を築くことに背を向け、一貫して、日常にある既知の平凡なことがら、具体的な事実や経験、身体の感覚を土台に展開されたアランの思考の動きを年代順に編む。

1巻は1906-1924の138篇を収録。