みすず書房

ロビン・フッド

中世のアウトロー

ROBIN HOOD

判型 四六判
定価 5,280円 (本体:4,800円)
ISBN 978-4-622-03368-4
Cコード C1022
発行日 1994年9月29日
備考 現在品切
オンラインで購入
ロビン・フッド

ロビン・フッドとは何者なのか?
この伝説のアウトロー——暴力と正義、犯罪と慈善、現実と理想の裂け目を生きた英雄の誕生の時を求めて、歴史家ホウルトは13世紀へさかのぼった。初期のロビン伝説には、伝説と現実に犯された犯罪とがいかに結びつくかも示され、15世紀の成熟したロビン・フッド物語にみられる事実と空想との混在状態を解きほぐす糸口も与えられる。
この13世紀以来、ロビンは、バラッドや本、詩映画のなかで、ヒーローとして生き続けてきた。かつては吟遊楽人がロビンをうたい、王や貴族の家中では、奉公人・ヨーマンと食客がその声に耳をかたむけた。彼らをとりまく社会は暴力にみちていた。冒険心や、無秩序への賛美の念を、ロビンを通じて彼らは抱いた。
そのロビンはやがて、春の祭典の主になって、慈善寄付を募ったりさえしはじめる。おなじみの登場人物メイド・メアリアンも、富者から奪って貧者に与えるロビン像も、シャーウッドの森すらも、700年前の最初のロビン伝説には出てこない。伝説には、原型の本質的な部分を保ちながら、多くのことが付加されたのである。
それはいつ、いかなる理由に拠るのだろうか。ホウルトは中世史のゆたかな知識を披瀝しながら、このアウトロー伝説の起源と変遷のすべてを描く。

目次

1 プロローグ
2 ロビン伝説
3 ロビン・フッドとは誰だったのか?
4 オリジナルのロビン・フッド
5 地理上の設定
6 聴衆
7 のちの伝承
8 エピローグ