みすず書房

歴史家が無類の愛書家であったら、その本棚にはどのような本が並んでいるであろう。しかも、その歴史家が中東の近代史、ロシアのイスラムを専門とし、独特の時間軸と空間軸をもって現代を捉える〈ラディカル・ヒストリアン〉であるとしたら、その本棚からは、時代と世界が全く新しい相貌をもって見えてくるのではなかろうか。この本は、そのような期待にみごとに応えてくれる。

ロシア帝国の崩壊、民族問題、イスラムと中東、イズムの光と影——90年代を映す汗牛充棟の本の中から選りすぐりの100冊が、ここにはある。〈往く者を見て、来る者を思う〉歴史家の確かな眼が光るブックガイド。