みすず書房

解釈人類学と反=反相対主義

THE POLITICS OF CULTURE

判型 四六判
頁数 288頁
定価 3,850円 (本体:3,500円)
ISBN 978-4-622-03682-1
Cコード C1039
発行日 2002年6月3日
備考 現在品切
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解釈人類学と反=反相対主義

「何より重要なのは、他の人々の生を私たちは私たち自身が磨いたレンズで見るし、彼らは私たちの生を彼らのレンズで見るということをはじめて主張したのが、人類学だということです」『ヌガラ』や『ローカル・ノレッジ』などで知られるアメリカの人類学者として、ギアツは文化相対主義を批判すると同時に、反相対主義も批判する。それは、文化性を越えるところに道徳性を位置づけ、文化性も道徳性もさらに越えるところに知性を位置づけることによってのみ、相対主義的アプローチを退けられると思い込んでいるからである、と。ギアツの立場は、反=反相対主義である。

本書は、日本での3回の講演も含め、アメリカを代表する知性の日本語版オリジナルの論集である。みずからの思想遍歴を語り、初期のインドネシアでのフィールドワークの実状を説明し、自分の立場を鮮明にしつつ、現代世界を論じた本書は、著者のエッセンスであるとともに、難解で知られるギアツ思想への最良の入門書にもなっている。

目次

はじめに
第 I 部 遍歴
第1章 アジア研究と私——福岡アジア文化賞受賞記念講演
第2章 遍歴の回想
第 II 部 多様性
第3章 文化の政治学——分解する世界とアジアのアイデンティティ
第4章 反=反相対主義——米国人類学会特別講演
第 III 部 経済と文化
第5章 バザール経済——農民市場における情報と探索
第6章 一九世紀バリの交易拠点
第7章 インドネシアの二共同体の社会変化と経済発展——事例研究
第8章 文化と社会変化——インドネシアの事例
第 IV 部 展望
第9章 言われつづけてきたこと——反=反相対主義と還元論(小泉潤二)

注釈
おわりに
引用文献
人名索引

書評情報

鷲田清一
朝日新聞「折々のことば」2016年8月19日