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インフォームド・コンセント
患者の選択
A HISTORY AND THEORY OF INFORMED CONSENT
- 著者
- ルース・R・フェイドン
- 著者
- トム・L・ビーチャム
- 訳者
- 酒井忠昭
- 訳者
- 秦洋一
医療のあり方が大きく変わろうとする今、「インフォームド・コンセント」というキーワードの理解が急務になった。
しかし実際には、想像以上に混乱があり、誤解がある。それはなぜだろうか。原因は、この概念がつくられた歴史的経緯が込み入っていることと。さらに、道徳、法律、医療など、アプローチによって捉え方が違うからだろう。この表現が生まれた米国においてさえ、法が想定するインフォームド・コンセントと、臨床医療の実績のあいだには、ながいあいだ隔たりがあった。
本書は、インフォームド・コンセントとは何か、その理論と歴史を、あらゆる角度から、しかもわかりやすく論じた、はじめての本である。
まず第一部で、この概念の基礎となる考え方を、道徳哲学と法律学の蓄積のなかから説明する。第二部は、インフォームド・コンセントの歴史。欧米の判例の積み重ねと米国の政策の発展を追ううちに、インフォームド・コンセントの輪郭がはっきり見えてくる。最後の第三部では、著者たちがみずからの立場を説明し、実質的なインフォームド・コンセントを達成するための条件をていねいに模索する。
この三部構成の本を流れるテーマは、ただ一つ、医師の「善行」に頼る考え方から脱し、患者の自律(自己決定)の条件をどう整えるかということだ。「依らしむべし、知らしむべからず」の感覚が、医療従事者だけでなく、患者の側にも深くしみこんでいる日本で、今もっとも切実なテーマがここにある。
「インフォームド・コンセント」の著訳者:
目次
序文
謝辞
第一部 基礎となる考えかた
1 道徳理論の基礎
原則、規則、権利
道徳性の概念 諸原則による意味づけ 義務に相関する権利
三つの原則
自律性の尊重 善行 公正
道徳的原則と権利の比較評価
結論
2 法的理論の基礎
道徳原則と法的権利
コモン・ローと法理
責任論 開示要件 因果関係 除外例
憲法とプライバシー権
プライバシーの請求としてのIC プライバシー訴訟の将来志向性
結論
第二部 インフォームド・コンセントの歴史
3 臨床医学のなかの見解と実践の解釈の問題
「同意」の歴史の解釈:このプロジェクトのある種の危険性
対立するふたつの歴史的解釈
ヒポクラテスから米国医師会にいたる綱領と論文
古代の医学 中世の医学 啓蒙期の医学 近代の
英米医学 医学的善行主義の伝統
一九世紀と二〇世紀初期の米国の医療
同意と拒否にかんする事例 秘密、善行的な嘘と自衛策
ICの到来
ICについて知らされるようになった時代:1917-1972年
新たな医学倫理の展開
結論:ほんとうは、なにも変わらなかった
4 同意と法廷:法理論の登場
法律の読みかた
二〇世紀以前の同意
一八世紀後期の英国:スレーター判決 一九世紀の米国の判例における暴行と医療ミス
二〇世紀初期の判例:基本的同意の誕生
シュレンドルフ以前の判例 シュレンドルフ事件 初期の判例がはたした役割
1917-1972年:同意は情報をともなうものになったサルゴ判決と暴行
ネイタンソン判決と過失
1972年-現在:ICの発展
カンタベリー判決 カンタベリー後:トルーマン判決
成文法の戦略
結論
5 研究倫理における同意要件の展開
生物医学における同意
ニュルンベルク綱領 ヘルシンキ宣言 有力な学術刊行物 諸事件をめぐる論争
行動科学における同意
心理学に綱領が生まれた 同意と欺瞞にかんする初期の論争 論争をよんだ事件と専門家の反応
研究行動における倫理的原則
結論
6 ヒトを対象にした研究にたいする連邦政策の発展
初期の連邦の認識:1962-1974年のふたつの厚生省機関
初期のNIH臨床センターの政策 FDA政策の形成
NIH政策の形成
その後の連邦の発展:ふたつの委員会と1974-1983年の新条例
生物医学・行動科学研究におけるヒト被験者保護のための国家委員会:1974-1978年 1981年米国厚生省の改定条例 医学、生物医学・行動科学研究における倫理問題研究のための大統領委員会:1980-1983年
結論
第三部 インフォームド・コンセントの理論
7 自律性の概念
自律性とIC
人間とその人間の行動の区別 自律的行動の段階
実質的な自律的行動
自律的行動の三つの条件
意図性の条件 理解の条件 非支配の条件
真正性は必要な条件か
熟慮のうえの受諾としての真正性 真正性の条件の再定式化の可能性
結論
8 ICの概念と能力
ICのふたつの概念
ICの分析 意味1自律的権限付託としてのIC
意味2有効な同意としてのIC 意味1と意味2の関係
同意する能力:門番役としての概念
法的能力の本質と段階 能力の概念の基準としての機能 心理学的能力、合法的な権限付託、自律的人間
結論
9 理解
理解と権限付託
実質的理解の基準
権限付託の行為の理解 権限付託する内容の理解
理解と開示の基準
通常の開示基準の不備 開示からコミュニケーションへ:理解の主観的基準 核心の開示と理解の共有:客観的基準 情報の留保 効果的コミュニケーションによる理解
コミュニケーションと情報の理解
言語、推理、背景となる知識の問題 危険と不確実性
情報過多、ストレス、病気の問題
実質的理解の確認
結論
10 強制、操作、説得
強制
強制の本質 脅威と報奨の申し出 抵抗性の主観的基準 「強制的状況」
説得
説得の本質 警告と予測 理由と正当とされる考え
自己説得
操作
操作の本質とタイプ 選択肢の操作 情報の操作
心理的操作 役割による制約の問題
結論
注
訳者あとがき
索引
この本の関連書
「インフォームド・コンセント」の画像:
「インフォームド・コンセント」の書籍情報:
- A5判 タテ210mm×ヨコ148mm/408頁
- 定価 6,300円(本体6,000円)
- ISBN 4-622-03794-7 C1036
- 1994年10月4日発行






