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シネマのある風景

著者
山田稔

「私の本当の人生はどこにあるのか。今日まで生きてきた、今も生きている現実の時間は仮のものにすぎず、映画館の暗がりで憧憬に息をつめながらスクリーンに見入っている時間、その中にいる自分こそが真の自分ではないのか。……フランス語に《それはシネマだ》という表現がある。作りごと、夢みたいな話だという意味である。シネマのように――そのように作りものの、夢のような人生。シネマとしての人生を生き、人生としてのシネマをみつづける。」(本文より)
北九州の港町に生まれ育った少年が、初めて暮らしたパリの地。街を往きかう若い男女、テーブルに座ったまま凝っと宙を見つめる老人、そこで著者がみたのは孤独と連帯のあいだにゆれる人間のドラマだった。老年にさしかかった今も、映画館通いは密かな愉しみ。『みんな元気』『愛に関する短いフィルム』『数に溺れて』『セックスと嘘とビデオテープ』『童年往事』『ひと月の夏』……京都、大坂、パリでみつづけた数々の作品を、生と死に想いを馳せながら静かにやわらかく語る本書は、私的映画エッセーのひとつの極致であるとともに、このすぐれた短編作家の精髄の披瀝である。


「シネマのある風景」の著訳者:

山田稔
やまだ・みのる
1930年、門司(現北九州市)に生まれる。11歳のとき京都に移住。京都大学文学部フランス文学科卒業。人文科学研究所助手を経て、現在、京都大学教養部教授。著書『スカトロジア』(福武文庫)、『幸福へのパスポート』『ごっこ』『コーマルタン界隈』(芸術選奨文部大臣賞、河出書房新社)、『生の傾き』、『旅のなかの旅』『再会・女ともだち』(以上新潮社)『特別な一日』(朝日新聞社)『影とささやき』『生の傾き』(以上編集工房ノア)。訳書 エミール・ゾラ『ナナ』(河出書房新社)、アルフォンス・アレー『悪戯の愉しみ』、『フィリップ傑作短篇集』(以上、福武文庫)、『フランス短篇傑作選』(岩波文庫)など。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

この本の関連書


「シネマのある風景」の画像:

シネマのある風景

「シネマのある風景」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/248頁
定価 2,310円(本体2,200円)
ISBN 4-622-04240-1 C1074
1992年6月25日発行

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