みすず書房

つねに社会に対し挑戦をつづけ、「ノン」を突きつけるのが自分の役割だと言わんばかりに、戦後の日本を駆け抜けた岡本太郎。

漫画家・岡本一平を父に、歌人=小説家・岡本かの子を母に、芸術家夫婦の一人息子として、生まれながらに〈芸術家〉を刻印された岡本太郎。

多くの話題を呼びつづけ、挑発をつづけ、一見〈型破り〉な言動ばかり重ねるように見える岡本太郎とは、そもそもどのような人間だったのだろう。

緑豊かな東京・青山に生まれ、幼い頃は虫を追って遊び、祖父の住む京橋の路地には江戸情緒が色濃く漂っていた。18歳で渡ったパリでは、絵画制作・文化人類学・民族学の勉学のかたわら、パリジェンヌとの恋物語にも事欠かない。

無邪気で、お茶目で、ダンディで、詩人で、エロティックで……。そんな岡本太郎のシャイな素顔を探る。

パリから帰国以降は、続篇『疾走する自画像』に収録する。