みすず書房

ジェイン・エアは幸せになれるか?

名作小説のさらなる謎

CAN JANE EYRE BE HAPPY?

判型 四六判
頁数 312頁
定価 3,520円 (本体:3,200円)
ISBN 978-4-622-04673-8
Cコード C0097
発行日 1999年1月8日
備考 現在品切
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ジェイン・エアは幸せになれるか?

本書は、一般の読者人にも研究者にも好評をもって迎えられた『ヒースクリフは殺人犯か?』の後篇ともいうべき一冊である。謎ときの範囲は広がって、18世紀の『ロビンソン・クルーソー』(「なぜ〈足跡が一つだけ〉なのか?」)から20世紀の『ダロウェイ夫人』(「クラリッサの目に見えないタクシー」)までを扱っている。「長大な『ジェイン・エア』論は、なかでもとりわけおもしろい。小説の謎に迫るサザーランドのシャープで多面的なアプローチの成功例の一つといえよう。1835年の婚姻法との係わりを中心に『ジェイン・エア』の設定年代をしぼりこんでいく鮮やかな手際、脇役人物の意外な重要性の指摘などを通して、謎めいた男性人物ロチェスターの背後に〈青ひげ〉伝説との関連を示唆するプロセスには、『ジェイン・エア』という名作自体と桔抗するほど、推理小説さながのスリルが感じられる」(訳者あとかき)。
他にも、「ファニー・ヒルはどこに避妊具をしまっているか?」、「トム・ジョーンズの父親は誰か?」、ホーソーンの『緋文字』を扱った「プリン夫妻はボストンで何をしているのか?」、ダニエル・デロンダは割礼を受けているのか? さらに、フェミニズム文学の正典たるシャーロット・パーキンズ・ギルマンの『黄色い壁紙』を論じた「屋根裏部屋の狂女にどんな治療法が?」など、33篇の名作小説の謎を推理している。
一般の読者がいだく素朴な疑問や感動が、小説を読む楽しみだけでなく、それを研究する上でもいかに重要か——心底から小説を愛する読書人への好個の贈り物。