みすず書房

「お山の大将は、鶏口よりも、無鳥の里のコウモリよりもずっと大らかで明るい。いつも青空をあおいでいるような感じである。みんなからなにがしかの敬意を受ける。これがいい気持ちでなければ人間でない。ときには言うことをきかない部下もいるだろうが、そこは大将らしく、あしらえばいい……類をもって集まり、互いにしのぎを削って競い合うようなことでは、生きがいはすくない。お山の大将、われひとり、そう思うとき、人生はたのしい」(「お山の大将」)。

人生、いかに生き、いかに老いるべきか?  こうした大問題は座して黙考すべきではない——ゆったり散歩しながら、ふと浮かんだヒントをこっそり伝授するエッセイの粋。

目次

根本実当先生
師の影/留学嫌い/ミロのヴィーナス/男の鷹揚さ/男のくせに

男の神話
強きもの、汝の名は男……されど/男は悪で、女は善である……されど/男は狩人、女は獲物という……されど/諺は男の神話の原点である……されど/見栄坊は女の修飾語なり……されど/小心翼々、これぞ男のことば……されど/気はやさしくて、チカラモチ……されど/“男は化粧せず”は昔の話……されど/家なき子たち

プロムナード
プラス・アルファ/球面思考/秘密/方法としての笑い/お山の大将/虚実皮膜/休日/ 「気」 の研究/悪いニュース/となり事情/馴れと痛み/叔父的/旅の恥/毒、毒を制す/ウソからマコト/「あと」

知の創造
着想/発酵/閑談

あとがき