文学の記号学【新装版】
コレージュ・ド・フランス開講講義
LECON
「たとえ権力の外にある場所から語ったとしても、およそ言説には、権力(支配欲)がひそんでいるのである。そこで、この授業が自由なものであろうとすればするほど、ますますつぎのように自問することが必要であろう。いったい、いかなる条件のもとで、いかなる操作によって、言説は、いっさいの占有欲からのがれることができるのか、と。私の見るところでは、この問いかけこそ、きょう開講されたこの授業の根本的な企図をなすものなのである。
実際、この授業において、これから間接的に、しかし執拗に問題になるのは、権力である」
本書は、ヴァレリーやメルロー=ポンティなどの名で知られるコレージュ・ド・フランスに迎えられたロラン・バルトが、自らの思想と立場を表明すると共に、記号学の未来を展望した開講講義を収める。言語の権力というテーマを設定し、それをめぐる多様な問題を浮彫りにしつつ、「新たな授業」を提示・展開する本書は、バルトの思想はもとより、現代の文学・記号学に関心をもつ読者にとって必須の一冊といえよう。また巻末に、バルト記号学の核心を明らかにする詳細かつ刺較的な、訳者による解説を収める。
「文学の記号学【新装版】」の著訳者:
- ロラン・バルト
- Roland Barthes
- 1915年フランスのシェルブールに生まれ、幼年時代をスペイン国境に近いバイヨンヌに過す。パリ大学で古代ギリシア文学を学び、学生の古代劇グループを組織。結核のため1941年から5年間、スイスで療養生活を送りつつ、初めて文芸批評を執筆する。戦後はブカレストとアレクサンドリアでフランス語の講師、その間に文学研究の方法としての言語学に着目、帰国後、国立科学研究センター研究員、1954年に最初の成果『零度のエクリチュール』(邦訳、みすず書房、1971)を発表。その後エコール・プラティック・デ・オート・ゼチュードの〈マス・コミュニケイション研究センター〉(略称セクマ)教授を経て、1977年からコレージュ・ド・フランス教授。1980年歿。著書は他に『ミシュレ』(1954、みすず書房、1974)、『神話作用』(1957、現代思潮社、1967)、『ラシーヌ』(1963)、『エッセ・クリティック』(1964、晶文社、1972)、『記号学の原理』(1964、みすず書房『零度のエクリチュール』に併収、1971)、『批評と真実』(1966)、『物語の構造分析』(1966、みすず書房、1979)、『モードの体系』(1967、みすず書房、1972)、『S/Z』(1970、みすず書房、1973)、『旧修辞学』(1970、みすず書房、1979)、『表徴の帝国』(1971、新潮社、1974)、『サド、フーリエ、ロヨラ』(1971、みすず書房、1975)、『新=批評的エッセー』(1972、みすず書房、1977)『テクストの快楽』(1973、みすず書房、1977)、『彼自身によるロラン・バルト』(1975、みすず書房、1979)など。
- ※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
- 花輪光
- はなわ・ひかる
- 1932年山梨県に生れる。1955年東京教育大学文学部仏文科卒業。1959年同大学大学院博士課程中退。元筑波大学文芸・言語学系教授。著書『ロラン・バルト』(1985、みすず書房)訳書B.パンゴー『カミュの《異邦人》』、P.コニー『自然主義』(共訳)。R.バルト『新=批評的エッセー』『物語の構造分析』『文学の記号学』『明るい部屋』『言語のざわめき』『記号学の冒険』(1977、1979、1981、1985、1987、1988、みすず書房)R.ヤーコブソン『音と意味についての六章』(1977、みすず書房)、E.バンヴェニスト『一般言語学の諸問題』(共訳、1983、みすず書房)、R.ヤーコブソン他『詩の記号学のために』(編著・共訳、1985、書肆風の薇薔)、G.ジュネット『物語のディスクール』(共訳、1985、書肆風の薇薔)ほか。
- ※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
目次
文学の記号学
〔訳者解説〕
文学の復権――ロラン・バルトの開講講義『文学の記号学』をめぐって
この本の関連書
「文学の記号学【新装版】」の画像:
「文学の記号学【新装版】」の書籍情報:
- 四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/120頁
- 定価 2,520円(本体2,400円)
- ISBN 4-622-04955-4 C1098
- 1998年10月20日発行