生の事実【新装版】
THE FACTS OF LIFE
レインは本書のなかで初めて自分自身のことに触れている。父、母、祖父をはじめ父方、母方の親類たち、学校と学校友だち。「私はものごころがつくや否や、これらの人々の間に起っていることを理解しようしてきた。誰かを信じるとそれ以外の人間は信じられなくなるのであった。特に母と、母の母と母の妹とが家庭にいた時には――それは私が生後10ヵ月から18ヵ月までであるが――私は三人とも信じる訳にはいかなかったり、その中の一人だけを信じることができなかったり、誰も信じられなくなったりした。私は5歳になるまで、紐をつけなければ外出が許されなかった。その紐とは例の赤ん坊につける犬の紐のようなものである。また私は学校に行くまでほかの子供たちと一度も外で遊ばせてもらえなかった。……私は女の子がいない、男子だけの中学校に通学した。16歳の時には、われわれが今、生の事実と呼んでいることについてまだ何も知らなかった。」この追憶はそのまま本書の主題への導入となっている。
1970年に治療施設キングスレイ・ホールが閉じられてからのレインは、急速に東洋への関心を深めている。人間の生はどこから始まりどこで終るのか。誕生以前の生に遡り、その深い傷痕を追うユニークな考察。これは転回点にあるレインの聖と性への模索とも言えようか。
「生の事実【新装版】」の著訳者:
- R・D・レイン
- Ronald David Laing
- 1927年イギリスのグラスゴーに生れる。1951年グラスゴー大学医学部卒業。3年間陸軍軍医となった後、グラスゴー王立精神病院、グラスゴー大学精神科、ロンドンのタヴィストック・クリニックに勤務、以後タヴィストック人間関係研究所に入り、ランガム・クリニック所長を兼務、のち精神分析医として開業。著者『ひき裂かれた自己』(1960、69)『自己と他者』(1961)『狂気と家族』(1964)『経験の政治学』(1967)『結ぼれ』(1973)『好き?好き?大好き?』(1976)『家族の政治学』(1979)(以上邦訳みすず書房)『レインわが半生』(1985、邦訳岩波書店)など。
- ※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
- 塚本嘉壽
- つかもと・よしひさ
- 1943年東京に生れる。一橋大学卒業。京都大学教育学部博士課程中退。臨床心理学専攻。現在埼玉大学教養学部教授。著書『漱石、もう一つの宇宙』(新曜社、1994)『タンタロス・コンプレックス』(行路社、1994)。訳書 レイン『経験の政治学』(1973)ドゥ・ヴァーレン『精神病』(1994)(共訳、以上みすず書房)
- ※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
- 笠原嘉
- かさはら・よみし
- 1928年神戸市に生れる。京都大学医学部卒業。精神医学専攻。名古屋大学名誉教授。著書『青年期』(1977、中公新書)『ユキの日記』(1978、みすず書房)『不安の病理』(1981、岩波新書)『精神病と神経症』(1984、みすず書房)『アパシー・シンドローム』(1984、岩波書店)『退却神経症』(1988、講談社現代新書)『外来精神医学から』(1991、みすず書房)『軽症うつ病』(1996、講談社現代新書)『新・精神科医のノート』(1997、みすず書房)『精神病』(1998、岩波新書)。編著『青年の精神病理』(1976、弘文堂)『精神の科学』(1983、岩波講座)『異常心理学講座』(1987、みすず書房)。訳書 ボス『精神分析と現存在分析論』(1962)ハナ・グリーン『デポラの世界』(1971)『手のことば』(1974)レイン『ひき裂かれた自己』(1971)『狂気と家族』(1972)レイン『自己と他者』(1975)サルズマン『強迫パーソナリティ』(1985)サールズ『ノンヒューマン環境論』(1988)コフート『自己の分析』(1994)『自己の治癒』『自己の修復』(1995)(共訳、以上みすず書房)。
- ※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
目次
まえがき
プロローグ
1 第一の資料
2 思索
3 天性と養育
4 感情と物理学
5 誕生以前の生
6 出生
7 臍帯の切断
8 自画像
9 精神医学の実例
10 科学的方法と私たち
11 講義
12 フィールド・ノート
エピローグ
訳者あとがき
この本の関連書
「生の事実【新装版】」の画像:
「生の事実【新装版】」の書籍情報:
- 四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/248頁
- 定価 3,465円(本体3,300円)
- ISBN 4-622-05132-X C1047
- 2002年6月5日発行