みすず書房

永山正昭は小樽出身、20歳そこそこで船の通信士となり、2年ほど香港—ニューヨーク航路で働いた。その後は海上労働運動に専心し、戦中—戦後を通じて、海員向け機関紙・誌の編集にも関わった。

さらに戦後は日本共産党に入党、『アカハタ』記者ともなる。退職後、手書きの『星星之火通信』の発行を開始。本書は、『通信』の膨大な文章群から厳選し、それを核として編んだ自伝的エッセーの束であり、時代の貴重な証言である。すぐれた運動家、独特な読書家、そして文学の才に富み、洞察の人でもあった永山の全貌が、ここにはじめて一冊になる。