みすず書房

ロングセラー『一日の終わりの詩集』に続く最新詩集。この詩集『死者の贈り物』は、「いずれも、親しかったものの記憶にささげる詩として書かれた。親しかった場所。親しかった時間。親しかった人。近しかったが相識ることはなかった人。親しかった樹。親しかった猫。親しかった習慣。親しかった思念。親しかった旋律。親しかった書物。」(あとがきより)

「誰もが人生を目的と考える。ところが、/世界は誰にも、人生を手段として投げかえす。/彼女は思う。人生は目的でも、手段でもない。/ここから、そこへゆくまでの、途中にすぎない。」(「ノーウェア。ノーウェア」の一節)

読後にふしぎな明るさをのこす、あたたかな悲しみと静けさと透明な思念にみちた詩篇/無言歌20編。

目次

渚を遠ざかってゆく人
こんな静かな夜
秘密
イツカ、向コウデ
三匹の死んだ猫
魂というものがあるなら
草稿のままの人生
老人と猫と本のために
小さな神
サルビアを焚く
箱の中の大事なもの
ノーウェア、ノーウェア
その人のように
あなたのような彼の肖像
わたし(たち)にとって大切なもの
あらゆるものを忘れてゆく
砂漠の夕べの祈り
砂漠の夜の祈り
夜の森の道
アメイジング・ツリー

あとがき