「みすず書房」ページ内リンク

  1. 「メインメニュー」へ移動
  2. 「みすず書房の本の検索メニュー」へ移動
  3. 「本文」へ移動
  4. 「サイト利用ガイド」へ移動



シナプスが人格をつくる

脳細胞から自己の総体へ

SYNAPTIC SELF


人格の構造はシナプスのレベルからどの程度理解されているのか?本書はこの疑問に答えようという壮大な試みである。著者が自身の大胆な仮説も導入してまとめあげる人格のシナプスメカニズムはまだ素描ではあるが、読者は読後に人格の構造を眼前に見るような手ごたえを感じるだろう。

著者の徹底して還元主義的なアプローチからは、意識的な自己以上に、自己の無意識的な部分が人間の精神活動・行動とその個性を生み出す構造が見えてくる。また、シナプスが脳内で局所的にも大域的にも、いかに可塑的であるかを本書は強調する。「遺伝」と「経験」は相互に影響するが、脳が生み出す人格の個性は、遺伝以上に外的あるいは内的経験がシナプスの可塑性に作用することで形作られるのだ。

さらに、自己という多次元構造の中で知・情・意のバランスがいかにダイナミックに変化しうるかについては、著者自身が多年にわたる情動メカニズムの研究から得た洞察を随所で明かしている。

近年の神経科学の膨大な研究成果と、それ以上にたくさんの新たな謎を提示する本書は、心理学・精神医学・認知科学など人格/自己を探求する他分野へも無尽の示唆を与えるだろう。また、脳という偉大なパズルのスマートな解法を競う神経科学者たちの世界を垣間見られることも、本書の魅力のひとつである。


「シナプスが人格をつくる」の著訳者:

ジョゼフ・ルドゥー
Joseph LeDoux
1949年生まれ。ニューヨーク大学神経科学センター教授。「私はばかげていない還元主義、意味のある還元主義を求めている。自己について考えるときシナプスのレベルからはじめるのは意味のあることだと私は信じている。」徹底した還元主義の立場をとり、実験的に検証可能なアプローチによる情動(感情)メカニズムの解明というテーマに長年取り組んでいる。特に、恐怖の神経メカニズムに関する主導的研究者である。主な著書に、分離脳患者についての著名な研究を紹介したIntegrated Mind(マイケル・ガザニガとの共著、Plenum Press, 1978)〔邦訳『二つの脳と一つの心──左右の半球と認知』〔柏原恵志ほか訳、ミネルヴァ書房、1980年〕、The Emotional Brain(Simon and Shuster, 1996)〔邦訳『エモーショナル・ブレイン──情動の脳科学』、松本元・川村光毅ほか訳、東京大学出版会、2003年〕などがある。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
森憲作
もり・けんさく
東京大学大学院医学系研究科教授。専門は神経科学。昭和53年大阪大学で工学博士取得後、群馬大学、イェール大学の研究職を経て、昭和62年に(財)大阪バイオサイエンス研究所第3研究部副部長に就任。平成7年から理化学研究所に移り、国際フロンティア研究システム・グループディレクター、平成9年から理化学研究所・脳科学総合研究センター・グループディレクター。平成11年から現職。嗅覚神経系の基本構造・機能や匂い情報処理回路などの細胞生理学的研究に携わっている。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
谷垣暁美
たにがき・あけみ
翻訳者。訳書に、アン・ローガン『熱い夜・白い月』(ハーレクイン、1997)、ルドルフ・E・タンジ/アン・B・パーソン『痴呆の謎を解く――アルツハイマー病遺伝子の発見』(文一総合出版、2002)、ヴィレム・エルスホット『9990個のチーズ』(共訳、ウェッジ、2003)、ジェフリー・フォード『白い果実』(共訳、国書刊行会、2004)ほか。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

目次

第一章 大きな問題
第二章 自己を求めて
第三章 いちばんわけのわからない機械装置
第四章 脳の構築
第五章 時の中の冒険
第六章 小さな変化
第七章 心の三部作
第八章 情――『エモーショナル・ブレイン』再訪
第九章 意――ロスト・ワールド
第十章 シナプスの病気
第十一章 あなたは何者なのか

謝 辞
監修者あとがき
原 注
参考文献リスト
文献索引
索 引

編集者からひとこと

〈筋金入りの神経科学者〉の手になる脳科学の本を読みたい人へ、この一冊。この分野の玄人筋にとっては、巻末付録の詳細な注釈や文献リストも情報源として重宝だそうです。
     *
人格は、自分で意識できる部分と無意識の部分の両方を含む、意識より大きな枠組みだ。それは例えばこんなことからもうかがえる。 ...続きを読む »

書評情報

茂木健一郎(科学者)
<2004年11月28日:日本経済新聞>
最近、脳に関する本は数多く出版されているが、その中でも本書は科学的にもっとも優れたものの一つである。著者のルドゥーは感情の脳メカニズム研究の世界的権威である。監修者は嗅覚研究の第一人者である。訳文も大変読みやすい。
ルドゥーはユニークなアプローチをとる。意識そのものを扱うよりも、「自己」が作られるメカニズムを説明してみようというのである。意識と自己は似ているようで、実はかなりのニュアンスの違いがある。その違いがどこにあるかを理解するだけでも、本書を読む価値があると言えよう。……感情の研究は、脳科学の分野の中でも近年最も急速な発展が見られる分野である。ホットな問題を、最適任者が論じているわけである。……事前知識がなくても理解できるように、丁寧に説明されていることはもちろんである。大学での教科書として十分使えるほど、内容は充実している。……科学離れが喧伝されている昨今だが、本物の魅力は必ず伝わる。

関連リンク

この本の関連書


「シナプスが人格をつくる」の画像:

シナプスが人格をつくる

「シナプスが人格をつくる」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/576頁
定価 3,990円(本体3,800円)
ISBN 4-622-07110-X C0045
2004年10月25日発行

この本を購入する