みすず書房

アメリカ建国とイロコイ民主制

EXEMPLAR OF LIBERTY

判型 A5判
頁数 376頁
定価 6,160円 (本体:5,600円)
ISBN 978-4-622-07186-0
Cコード C1022
発行日 2006年1月23日
備考 現在品切
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アメリカ建国とイロコイ民主制

「政府のモデルを求めて古代史まで遡ったわれわれは、崩壊の種を宿して形成され、もはや存在しなくなった様々な共和国の形態を検討した。また、ヨーロッパの近代国家もすべて研究したが、われわれの置かれた状況にふさわしい憲法は見当たらなかった」(ベンジャミン・フランクリン)

「社会がこうあるべきだという姿を理解するには、現在の北米インディアンのような、人間の自然状態からヒントを得ることが必要だ」(トマス・ペイン)

「地上でわれわれの政府と比較しうる唯一の政府は、われわれより少ない法で成り立つインディアンの政府だろう。それに比べて、ヨーロッパの政府はハトに君臨するトビの政府である」(トマス・ジェファーソン)

「そのベールが時によって取り除かれるとき、この驚くべき革命の知られざる源泉が明らかになるかもしれない」(ジョン・アダムズ)

北米先住民社会、とりわけモルガン『古代社会』やエンゲルス国家論などで知られるイロコイ連邦の存在が、独立革命にいかに影響をおよぼしたか。合州国憲法制定においてフランクリン、ジェファーソンら建国の父祖たちが、ネイティヴの自治理論をいかに「新世界」由来のヨーロッパ政治思想に融合させていったか。歴史の闇に埋もれていた文化的転移、世界史的実験のプロセスを、一次史料を駆使して解き明かした驚異の書。

目次

はしがき ヴァイン・デロリアJr


第1章 アメリカの声——植民地が見た土着の自由
第2章 アメリカ土着の民主主義——植民地のアメリカ人が見た先住民社会
第3章 自然人、不自然な土地へ——アメリカの“王たち”によるイギリス評(1600‐1800年)
第4章 「未開人」を気高くする——ヨーロッパの自然権哲学におけるアメリカ先住民
第5章 荒野の務め——ロジャー・ウィリアムズと「魂の自由」
第6章 白い根は広がる——植民地の団結を迫るイロコイ連邦
第7章 モホーク、斧、税金——革命の序章としての象徴的アイデンティティ
第8章 新たな一幕——フランクリン、ジェファーソン、ペインの著作に見るアメリカ先住民像
第9章 アメリカ的融合——聖タマニーの息子たち、あるいはコロンブス教団
第10章 新しい国に大協議の焚火をともす——アメリカ先住民の自由と合州国憲法
第11章 持続する理念——イロコイの自由は十九世紀以降どう受けとめられたか
第12章 結論

原注
訳注
あとがき