みすず書房

アメリカ憲法の呪縛

THE PRESENCE OF THE PAST

判型 A5判
頁数 312頁
定価 5,720円 (本体:5,200円)
ISBN 978-4-622-07187-7
Cコード C1031
発行日 2006年7月10日
備考 現在品切
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アメリカ憲法の呪縛

アメリカの「民主主義」は、スローガンとしては不動の地位にあるが、業績万能の現代社会では、不適切な厄介者になっている。この奥深い変容は、ケネディの大統領就任演説ですでに顕在化し、具体的にはレーガン政権の時代に決定的になる。国家という集合体が、意識的に過去を忘却するのはなぜか? 国家のアイデンティティ確立のために呼び出される神話とは? 「国家と企業の相克」の意味するものは? 民営化はなぜ国家権力の縮小にならないのか?

本書の11論文は、いずれも1787年の憲法をめぐる考察だが、論じられるのは啓示としての憲法ではなく、政治的な出来事としての憲法であり、「根本的に反民主主義的な要素を含む」憲法である。この視点から今日の覇権主義、とりわけその前段階である1980年代の政治状況が歴史的に検討される。民主主義的な価値を喪失したばかりか、未来への希望まで息の根を止められそうな現代の状況を、ラディカル・デモクラシーの代表的な論者が熱をこめて告発する。

目次

日本語版への序
謝辞
序論

1 集合体のアイデンティティと立憲的権力
2 不正と集合体の記憶
3 エリート主義とポストモダンへの憤怒
4 旧時代主義的なもの、近代、『アメリカの民主主義』
5 憲法の保全と管理化——二〇〇周年記念と疑念
6 モンテスキューとパブリウス—— 理性の危機と『ザ・フェデラリスト』
7 多数から統一を—— 差異の代表と共同性の再構築
8 契約と生得権
9 民主主義と福祉国家——「国家理性」と「福祉国家理性」の政治的理論的連環
10  市民なき民主主義
11  民主主義と操作的民主主義

訳者あとがき
原注
索引