文学シリーズ lettres
家畜
A DOMESTIC ANIMAL
「彼らは狼を犬にし、さらに人間そのものを、人間の最良の家畜にしたのだ」(ニーチェ)。
英国の作家でゲイのトムソンはイタリア人哲学者アントニオに一目惚れし、彼を自宅に下宿させる。しかし、この美男で妻子もちの元プロサッカー選手は女好きで、若いパムを恋人にする。かくして、この三人をめぐる絶望と苦いユーモアに満ちた恋愛劇が幕を開ける。自らの情念に忠実なトムソンと一見自由奔放なアントニオ、また遅疑逡巡するパム――緻密に構成されたドラマは最後のどんでん返しでクライマックスを迎える。ここに至って、この小説は単なるゲイの悲恋を超えた、優れた芸術家小説となって立ち現われる。現代英文学を代表する長老作家の傑作。
「家畜」の著訳者:
- フランシス・キング
- Francis King
- 1923年スイス生まれ。幼年時代を父親の勤務地インドで過ごす。オクスフォード大学で古典学を専攻。学生時代『暗い塔へ』で文壇デビュー。1949年よりブリティッシュ・カウンシルに入り、イタリア、ギリシア、エジプト、フィンランドに赴任。行く先々の国を舞台に小説を発表する。1959年より63年までブリティッシュ・カウンシル京都代表として日本に滞在。日本勤務を最後にブリティッシュ・カウンシルを去り、帰英して文筆に専念する。代表作に本書のほか、1951年『隔てる川』(サマセット・モーム賞)。1964年『日本の雨傘』(キャサリン・マンスフィールド短編賞)、1978年『E.M.フォースター評伝』、1983年『闇の行為』(「ヨークシア・ポスト」紙小説部門年間最優秀賞)などがある。1978年から85年まで英国ペンクラブ会長、翌86年から89年まで国際ペン会長を務める。長年に亙るその優れた業績により、1985年、英国王室よりコマンダー勲章(the C.B.E.)を、また2000年に英国ペンクラブより金ペン賞を授与される。
- ※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
- 横島昇
- よこしま・のぼる
- 1953年京都府に生まれる。1976年京都外国語大学卒業、80年同大学院修士課程修了。著書 『フランシス・キング 東西文学の一接点』(こびあん書房、1995)。訳書 フランシス・キング『日本の雨傘』(1991、河合出版)、郡虎彦『郡虎彦英文戯曲翻訳全集』(2003年、未知谷)。
- ※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
この本の関連書
「家畜」の画像:
「家畜」の書籍情報:
- 四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/336頁
- 定価 3,150円(本体3,000円)
- ISBN 4-622-07212-2 C0097
- 2006年4月6日発行