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モーツァルト《フィガロの結婚》読解

暗闇のなかの共和国

著者
水林章

「《フィガロの結婚》を啓蒙の模範的な、そして最高の達成のひとつとしてとらえるのがわたしの立場である。(……)わたしには、モーツァルトの音楽、なかでも後期のブッファの傑作群と、ヨーロッパ啓蒙主義、特にフランス18世紀の哲学者たちによる「ユマニスム」の創造と実験を経て、フランスに〈共和国〉というまさに多様性と統一性の同時的な実現を目指す共生の形式が生まれたという事実のあいだには、まことに意義深い平行関係が存在するように思われるのだ。」(本文より)
男女の結びつきが家父長制と宗教に縛られ、男性成人のみが家長の資格において政治社会のメンバーと認められた近世身分制社会に、フィガロとスザンナという政治的公共圏の外に追いやられた二人を物語の中心に据えた、フランスの戯曲作家ボーマルシェの『フィガロの結婚』。この作品が胚胎する身分制的・世襲制的な秩序の解体へのエネルギーを、ダ・ポンテの台本とモーツァルトの音楽は、意志的に作られた新しい公共的な世界としての〈共和国〉への飛翔へと、みごとに解き放ってみせた。その途方もない新しさは、どのような音楽的彫琢によって生み出されたのか。
リブレットとスコアにつねに立ち戻りながら、戯曲とオペラ両作品の繋がり、そして懸隔を確かめ、オペラ《フィガロの結婚》の魅力と秘密を、詳細かつダイナミックに描いた、類のないテクスト読解。


「モーツァルト《フィガロの結婚》読解」の著訳者:

水林章
みずばやし・あきら
1951年山形県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。パリ高等師範学校ENS-Ulm入学。パリ第7大学テクストと資料の科学科博士課程修了。第三期課程博士。博士(学術)。現在、上智大学教授。専攻は17-19世紀前半のフランス文学・思想。著書『幸福への意志――〈文明化〉のエクリチュール』(みすず書房、1994)、『ドン・ジュアンの埋葬――モリエール『ドン・ジュアン』における歴史と社会』(山川出版社、1996)、『公衆の誕生、文学の出現――ルソー的経験と現代』(みすず書房、2003)、『『カンディード』〈戦争〉を前にした青年』(みすず書房〈理想の教室〉、2005年)、『思想としての〈共和国〉』(共著、みすず書房、2006)、『モーツァルト《フィガロの結婚》読解――暗闇のなかの共和国』(みすず書房、2007)など。訳書:シャルチェ『書物から読書へ』、アポストリデス『機械としての王』(以上、みすず書房)
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

目次

Iプロローグ――どのようにアプローチするのか
II抗争的世界の創出
III《フィガロ》の「社会」――身分・アイデンティティ・性
IV女たちの闘い
V家族の誕生――対立関係の解消
VI暗闇のなかの〈共和国〉
VIIエピローグ――〈啓蒙〉のテクスト、〈啓蒙〉のオペラ

《フィガロの結婚》――音と映像
あとがき
図版一覧

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「モーツァルト《フィガロの結婚》読解」の画像:

モーツァルト《フィガロの結婚》読解

「モーツァルト《フィガロの結婚》読解」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/352頁
定価 4,725円(本体4,500円)
ISBN 978-4-622-07299-7 C1073
2007年6月1日発行

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