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個人データ保護

イノベーションによるプライバシー像の変容


「プライバシー」という概念には当初から雑多なモードが含まれていた。それは私事にかかわる何かとされたが、そこには事実も芸術的表現も、人格的価値も経済的価値も入ると理解されていた。
制度的な拡がりでみると、それは不法行為法、刑法、通信法など、さらには憲法にもかかわるものであった。こうした特性は今日においても変わらない。
一方、コンピュータを核とするイノベーションは、生命工学を含むあらゆる分野の業務において、既存の秩序を解体し、それを再構成してきた。これにともなって既存の業務に結びついていたプライバシー保護の制度も、現在その解体と再構築とを余儀なくされている。
本書は個人データ保護について、論点を市民生活と先端技術と法制度とのあいだの軋みにしぼり、ここに生じる法の欠缺(けんけつ)と技術の過剰とを指摘し、利害関係者の意見を列挙し、その評価を試みたものである。
ここではアメリカにおける歴史的経験を中心におき、先端技術にかかわる判例を多数引用、要所を押さえた問題提起がなされている。
センサス・データ、クレジット・カード、GPS、ICタグ、バイオメトリクス…。様々なトピックにおける技術者の目論見、法律家の判断を検討しつつ、近未来の姿を予測する。


目次


I データ保護を求めて
1 プライバシーの発見
鼻のまえ30インチ/独りにおいてもらう権利/人格的価値にも、財産的価値にも/ウォーレンとブランダイス以後/年表・プライバシー法
2 センサス・データ、そして社会保障番号
センサスの機械化/カードと紙幣の互換性/センサスのなかの個人データ/国立データ・センター構想/身元確認の番号/連邦プライバシー法/コンピュータ照合/「無名の市民」
3 郵便番号、そしてメーリング・リスト
郵政長官フランクリン/起業家フランクリン/住所のデータベース化/メーリング・リストの市場化/宛名削除すなわち監視/情報公開との折り合い/オプトアウト、オプトイン
4 クレジット・カード、クレジット・スコアリング
輸送、現金輸送、そして送金/家具店、医者、シンガー、フォード/カード、信用の囲い込み/レッドライニング/カードすなわち本人?/野放しビジネスのシステム化/クレジット・スコアリング/「覗きに関する特ダネ」/自己データの流通制御
5 電話番号、通話記録、そしてクッキー
交換手から交換機へ/名前より番号/電話帳の事業化/迷惑電話/プライバシー対プライバシー/電話からインターネットへ/クッキー訴訟/技術による迂回
6 越境データ流通
伝書鳩に始まる/データ保護へ/OECDのガイドライン/米国対欧州/保護すなわち障壁/競合する価値/エシュロン

II 監視に対して
7 盗聴、空中撮影、赤外線探知
家庭への侵入/まず所有物原則/盗聴の制度化/ついで合理原則/公衆の眼、単純な視力/壁を通して、壁を隔てて/絶望的に時代遅れ/携帯電話、さらにビデオ・カメラ/盗聴、日常的
8 監視カメラ、RFIDタグ、そして
イベント・データ・レコーダ、公衆の眼なし/監視カメラ、公衆の眼あり/GPS、その両用性/E911、プライバシーの希釈/RFIDタグ、その横滑り性/監視、ビジネス主導へ/憲法修正四条、有効かつ無効/監視、消費者主導へ
9 そして、データ・マイニング
捜査から監視へ/事前の選別へ/矯めつ眇めつ/実際的なあいまいさ/特定者から不特定者へ/真正ID法/民間データベースの政府利用/監視のアウトソーシング/データ・マイニングの事業化/ユビキタス・コンピューティング
10 バイオメトリクス、さらに
パスワードよりも確か/憲法修正四条、ここでも/旅券の電子化/指紋からDNA指紋法へ/科学者共同体による保証/脳指紋法へ/脳画像化、プライバシーの透視/私はどこにいるのか?/レイマン、納得できるか

III イノベーションとともに
11 巨大システム対データ主体
一望監視システム/タールのなかの恐竜/匿名の文脈依存性/秘匿と公開の連鎖/セキュリティに関する注/専門家でなく曲芸師が
12 法律から技術標準へ
十分な水準の保護措置/スウィフト紛争/合意、すなわち現状追認/主観の標準化
13 個人データ、贈与あるいは収用
公益目的への流用/説明と同意の先/バイオバンク/国の資源として/100年条項/開示抑制、あれこれ
14 あるいはトークン、あるいは商品、あるいは制御用タグ
自己データの流通制御、再考/個人データの定義/個人データのカタログ/個人データ保護の道具箱/操作主義的な定義
15 保護も、監視も、侵害も
一望監視なし/データ保護という事業機会/ムーアの法則/アンバンドリング/ベスト・エフォート/一人アプリケーション/リスク選好/矛と楯の連鎖/『一九八四年』回顧/第三世代のプライバシー保護/イノベーションの術中に


著訳者略歴

名和小太郎
なわ・こたろう

1931年、東京生まれ。工学博士。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

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個人データ保護

「個人データ保護」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/312頁
定価 3,456円(本体3,200円)
ISBN 978-4-622-07363-5 C0036
2008年3月19日発行

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