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ヴィクトリア朝偉人伝

EMINENT VICTORIANS


「文学のなかで最も繊細かつ人間的な分野である伝記文学が、イギリスでは雇われ職人の手に任されている。すばらしい伝記を書くことは、すばらしい人生を送ることと同じくらいむずかしいということが、まったくわかっていないのだ。イギリスでは、分厚い二巻本の伝記によって死者を記念するのが慣例になっている……まるで葬儀の行列みたいな見慣れた光景であり、のろのろした野暮ったい雰囲気までそっくりだ。なかにはほんとうに、葬儀屋が自分の仕事の最後の仕上げとして書いたのではないかと思いたくなるような伝記さえある。
適切な簡潔さを保つこと。つまり、余分なものはすべて排除し、重要なものは何も排除しない簡潔さを保つこと。間違いなく、これが伝記作家の第一の義務である。第二の義務は、これも間違いないが、伝記作家自身の精神の自由を保つこと。伝記作家の仕事は故人を賛美することではない。伝記作家がなすべきことは、主題となる人物に関する事実を、自分の理解に従って明らかにすることであり、これこそ私がこの本でめざしたことである……〈私は何も押しつけないし、何も提案しない。ただ事実を示すだけだ〉」(ストレイチーの序)。
本書『ヴィクトリア朝偉人伝』は〈伝記を変えた伝記〉と絶賛され、久しく伝記文学の古典の位置を占めてきた。それぞれヴィクトリア朝を代表する偉人たち――行動的な女性・教育者・軍人・聖職者の人生の軌跡を簡潔かつ辛辣に描いた本書は、知的な読書人にとって無類に面白い〈文学的読み物〉であろう。


「ヴィクトリア朝偉人伝」の著訳者:

リットン・ストレイチー
Lytton Strachey
イギリスの伝記作家・批評家。ヴァージニア・ウルフやE・M・フォースターらと共にブルームズベリー・グループの一員として、ヴィクトリア朝の文学・思想を批判し、現代的なスタイルを創り出した。著書は他に『ヴィクトリア朝の偉人たち』(抄訳、岩波文庫)『ヴィクトリア女王』(冨山房百科文庫)『エリザベスとエッセクス』(冨山房百科文庫)『フランス文学道しるべ』(筑摩叢書)などがある。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
中野康司
なかの・こうじ
1946年生まれ。東京外国語大学卒業。東京都立大学大学院博士課程中退。東京都立大学教授を経て、現在 青山学院大学英米文学科教授。訳書 N.S.ヌデベレ『愚者たち』(講談社)、E.M.フォースター『アレクサンドリア』(晶文社)、『天使も踏むを恐れるところ』(白水社)、『デーヴィーの丘』『小説の諸相』(みすず書房)、W.ルイス『愛の報い』(集英社)、ダグラス・ダン『ひそやかな村』(白水社)、ボブ・シャコーチス『おれは彼女の心臓を食べた』、アーネスト.J.ゲインズ『ジェファーソンの死』(集英社)、ライオネル・トリリング『E.M.フォースター』(みすず書房)、ジュリアン・バーンズ『海峡を越えて』(白水社)、リットン・ストレイチー『てのひらの肖像画』(みすず書房)ほか。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

目次


フローレンス・ナイチンゲール
アーノルド博士
ゴードン将軍の最期
マニング枢機卿

この本の関連書


「ヴィクトリア朝偉人伝」の画像:

ヴィクトリア朝偉人伝

「ヴィクトリア朝偉人伝」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/384頁
定価 3,990円(本体3,800円)
ISBN 978-4-622-07370-3 C1098
2008年2月18日発行

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