みすず書房

実践批評

英語教育と文学的判断力の研究

PRACTICAL CRITICISM

判型 四六判
頁数 200頁
定価 3,850円 (本体:3,500円)
ISBN 978-4-622-07376-5
Cコード C1098
発行日 2008年4月7日
備考 現在品切
オンラインで購入
実践批評

「本書は、英語教育と英語の研究にとって、革命的な著書である。リチャーズ氏がケンブリッジ大学で学生諸君に、作者の名前とタイトルを伏せた詩を配布し、彼らがコメントを書くことを求めた実験に基づいている。その結果は興味深く、驚くべきものだった。多数の学生が、ジョン・ダンやD・H・ロレンス、G・M・ホプキンズを非難して、S・ケネディやJ・D・C・ペリューを褒めているからである。リチャーズ氏はモルモットになった学生諸君の詩への既得反応、先入観、韻律への鈍感さ、集中力の欠如を分析している。だが、詩に鈍感な人間は人生でも鈍感とは言っていないが、〈詩に対する鈍感さは、想像的生活のレベルの低さの証明ではある〉と述べている」(『オックスフォード文学辞典』)
リチャーズはまず第一部で学生が詩作品に対して下した鑑賞と評価を紹介し、第二部ではなぜそのような誤った解釈がなされたかを分析している。彼の行なったこの実験はやがてW・エンプソンの『曖昧の七つの型』を生み、ニュークリティシズムの文学運動に影響を及ぼした。また、読者のこの誤読をポジティヴに捉える立場は、<読者論=受容理論>を構想する出発点ともなった。日本では、桑原武夫がリチャーズのこの試みに触発されて、「第二芸術論」という文学的パンフレットを書き、俳壇・文壇を騒がせた事件が有名である。ともあれ、現代の批評理論の基礎を形成した本書の編訳による初の紹介は、日本の英語教育・文学鑑賞の研究に寄与すること大であろう。

目次

まえがき(著者による)

第1部 レポート集
第2部 分析
付録
あとがき(編訳者による)