みすず書房

叛逆としての科学

本を語り、文化を読む22章

THE SCIENTIST AS REBEL

判型 四六判
頁数 352頁
定価 3,520円 (本体:3,200円)
ISBN 978-4-622-07389-5
Cコード C0040
発行日 2008年6月20日
備考 現在品切
オンラインで購入
叛逆としての科学

20世紀が生んだ物理学の巨人の一人であり、奔放な想像力と鋭利な哲学的思索でも知られるフリーマン・ダイソンの精選書評・エッセイ集。
「ラマンやボース、サハといった、今世紀のインドの偉大な物理学者にとって、科学はまずイギリス支配に対する、そしてまたヒンドゥー教の宿命論的な価値観に対する、二重の叛逆だった。」
第一章は、文化的束縛への叛逆の一形態としての科学について瞑想し、さらに科学のビジョン自体がときに科学者を束縛してしまう皮肉について、ダイソン独特の視点から論じる。ほかにも、「神は研究室にいるのか」「二種類の歴史」などの章題が示すとおり、科学・SFから戦争や宗教まで、広汎な話題が縦横に語られる。
読みながら頭のなかで快哉を叫んだり、大声で異議を唱えたりせずにはいられない。そうやってさんざん掻き回された頭の中に、読後、何かがしがみついている。その何かが、目に映る世界をたしかに変えている。本物の科学エッセイを読む醍醐味とは、こういうものだろう。
ダイソンは慧眼の書評者としても、ベストセラーに上らなかった隠れた秀作を次々と掘り出している。否が応にも読書欲・知識欲を掻き立てられる一冊。

目次



第1部 科学における現代の諸問題
第1章 叛逆者としての科学者
第2章 現代の異端者
第3章 未来は私たちを必要としている
第4章 なんと精妙な世界だろう!
第5章 悲劇の目撃者

第2部 戦争と平和
第6章 将軍たち
第7章 ロシア人たち
第8章 平和主義者たち
第9章 理性の力
第10章 最後の最後まで

第3部 科学史と科学者
第11章 二種類の歴史
第12章 アマチュアを称えて
第13章 時計仕掛けの科学
第14章 今ひもとかれる世界
第15章 科学者、管理者、詩人としてのオッペンハイマー
第16章 見えざるものを見る
第17章 ある天才の悲劇

第4部 私的小論と哲学的小論
第18章 世界と肉体と悪魔
第19章 神は研究室にいるのか
第20章 100万回に1回
第21章 多世界
第22章 外側から見た宗教

訳者あとがき
初出一覧
原注
索引

書評情報

小沼通二
日本物理学会誌2010年8月号

関連リンク