みすず書房

神秘主義と論理【新装版】

MISTICISM AND LOGIC AND OTHER ESSAYS

判型 四六判
頁数 288頁
定価 3,630円 (本体:3,300円)
ISBN 978-4-622-07425-0
Cコード C0010
発行日 2008年9月19日
備考 現在品切
オンラインで購入
神秘主義と論理【新装版】

「形而上学、すなわち全体としての世界を思惟によって把握しようとする試みは、その発生の始めから、二つの全く相異なる人間的衝動の結合と闘争とによって、発展せしめられて来た。その一つは神秘主義の方向へ、他の一つは科学の方向へ、人間を押しやろうとするのである。……しかし、古来哲学者として最高級に位する人々は、科学と神秘主義との両方の必要を感じている。それというのも、この二つを調和させる試みこそは、彼らの全生涯そのものであったのだし、またそうすることによって、哲学をば——どこまで行っても不確実であるにもせよ——科学、宗教のいずれよりも偉大なものであると、人々に常に思わせておかなければならなかったからである。」(「神秘主義と論理」より)
イギリスの哲学者、ラッセル自選のエッセイ集。表題作「神秘主義と論理」をはじめとして、科学が提示する新しい世界像のなかで、人間はどのような信仰を構築しうるかを論じた「自由人の信仰」など、その明晰な哲学の全貌を収録する。

目次

一 神秘主義と論理
I 推理と直観
II 統一と数多
III 時間
IV 善と悪
二 自由教育における科学の地位
三 自由人の信仰
四 数学の研究
五 数学と形而上学者たち
六 哲学における科学的方法について
七 物質の研究的諸要素
八 感官与件の物理学に対する関係
I 問題の提示
II 感官与件の諸性質
III センシビリア
IV 感官与件は物的である
V 「センシビリア」と「諸物」
VI 構成物対推論
VII 私的空間および諸パースペクティヴの空間
VIII 「諸物」および「諸センシビリア」のパースペクティヴ空間への配置
物質の定義
X 時間
XII 諸物および物質の持続
XII 錯覚、幻覚、ならびに夢
九 原因という概念について
十 直知による知識と記述による知識
訳者あとがき
索引