みすず書房

書くこと、ロラン・バルトについて

エッセイ集 1/文学・映画・絵画

WHERE THE STRESS FALLS

判型 四六判
頁数 256頁
定価 3,740円 (本体:3,400円)
ISBN 978-4-622-07475-5
Cコード C0098
発行日 2009年9月8日
備考 現在品切
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書くこと、ロラン・バルトについて

「今のわれわれのほとんどすべては、ここにいたるまでのわれわれは文学の賜物、というのがあなたの説。もし書物が消滅したら、歴史は消滅する、人間も消滅する、と。その通りだと思います。書物はわれわれの夢や想い出の気まぐれな寄せ集めに尽きるものではありません。自分を越えてゆくためのモデルも提供してくれるのです。読書は一種の逃避、〈現実の〉日常世界から想像の世界への、書物の世界への逃避としか考えない人もいます。書物はそんなものではありません。本当に人間らしくなるための手段なのです」(ボルヘスへの手紙)。
ソンタグは彼女の敬愛したロラン・バルトと並び、われわれの時代にあって、つねに挑発性のきらめく〈花のある批評家〉であった。二人は共に、未知の新しい獲物をいつも追い求めた。それは『反解釈』『ハノイヘの旅』から『隠喩としての病い』『火山に恋して』にいたるまで、彼女の多面的な仕事に一貫する姿勢であった。他の誰もが気づかなかったものへの鋭い視線、先駆的で目覚ましい探求心がどのエッセイにも満ちている。読むことと見ることを通して人間と世界を洞察する営為——ヴァルザーやゼーバルト、ファスビンダー、オランダ絵画、文楽など、本書所収の長短18篇のエッセイはその明らかな証左である。

目次

読むこと
 詩人の散文
 どこに、力を——P・Dに
 死後の生 マシャード・デ・アシス
 喪に服して
 英知のプロジェクト
 書くこと、ロラン・バルトについて
 ヴァルザーの声
 ダニーロ・キシュ
 ゴンブロヴィッチ『フェルディドゥルケ』
 『ペドロ・パラモ』
 DQ
 ボルヘスへの手紙

見ること
 映画の一世紀
 小説から映画へ、ファスビンダーの『ベルリン・アレクサンダー広場』
 文楽覚え書
 空想の場
 イメージの悦び
 ホジキンについて

訳者あとがき

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