みすず書房

私の書かなかった本

MY UNWRITTEN BOOKS

判型 四六判
頁数 304頁
定価 4,950円 (本体:4,500円)
ISBN 978-4-622-07486-1
Cコード C1010
発行日 2009年9月18日
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私の書かなかった本

「本書の七つの章のひとつひとつが、書きたかったが書けなかった一冊の本について語っている。これらの章はその理由を説明しようとしている。
書かれざる書物は空虚以上のものである。成し終えた仕事に、皮肉で悲しげな動きまわる影のように付きまとうのだ。書かれざる書物とは生きられたであろう人生のひとつ、できたであろう旅のひとつなのだ。否定は決定因子になりうると哲学は教えてくれる。否定は可能性の否定以上のものである。欠如は、われわれが正確に予言したり、判断したりはできない結果をもたらす。重要だったかもしれないのは書かれざる書物なのだ。それはよりよく失敗することを可能にしたかもしれないからだ。あるいはそうでなかったかもしれない。」(ジョージ・スタイナー)

現代随一の批評家スタイナーもこの2009年で80歳を迎えた。『トルストイかドストエフスキーか』で鮮烈なデビューを遂げた彼は、半世紀にわたって常に「文明批評と人間批評とが文学を素材として燃えあがる、独自の批評」(由良君美)を書いてきた。自伝(小社刊)から十年を経て書かれた本書は、スタイナーの高度な入門にして、知的総決算とも言える、まことに峻烈な作品である。

目次

中国趣味について CHINOISERIE
妬みについて INVIDIA
エロスの舌語 THE TONGUES OF EROS
ユダヤ人について ZION
学校教育を考える SCHOOL TERMS
人間と動物について ON MAN AND BEAST
論点回避 BEGGING THE QUESTION

訳者あとがき

書評情報

粉川哲夫(東京経済大教授)
東京新聞2009年10月25日(日)
丸谷才一
毎日新聞2009年11月15日(日)

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