フロム・ヘル 下
FROM HELL
上巻で丁寧に用意した数々の物語装置が殺人者の心理の最深部に肉迫するクライマックスへ、さらに濃密な事件の顛末へとなだれこむ下巻。物語を読み終わるすべての読者が、カタルシスを味わうだろう。
ホワイトチャペル連続殺人の“史実”を偏執的なほどのストイックさでたどっているが、本作が再現を試みているのはむしろ、ヴィクトリア朝末期の英国社会である。ホークスムアの建築とロンドンの街、フリーメイソン、君主制、階層間の極端な格差などの要素が組み込まれている。スラム街の娼婦から女王まで、すべての階層に充満する不安とパラノイアの底に、革新と大量殺戮の20世紀が準備されつつある時代。それらの要素の結節点として一つの殺人事件を描きながら、歴史と神話の構造への畏怖と眩暈が表現される。
巻末には補遺として、各ページの註解と、切り裂きジャックをめぐる言説をテーマにした短編が付録されている。著者のねらいや、埋め込まれた仕掛け、サイド・ストーリーを味わい尽くすための手がかりが、この補遺にある。そこに再読、再再読の愉しみまで織り込まれている。
「フロム・ヘル 下」の著訳者:
目次
第九章 地獄より
第十章 この世で一番の仕立屋に
第十一章 不運なドルーイット氏
第十二章 リーズ氏の凶夢
第十三章 クリーヴランド・ストリートに還る
第十四章 ガル昇天す
エピローグ 海辺の老人たち
ロンドン地図、およびホワイトチャペル地区拡大図
補遺I 各章の註解
補遺II カガルモメ捕りのダンス
Murder, Myth & Magic(柳下毅一郎)
翻訳参考図書
書評情報
- 富山太佳夫<2009年11月15日(日):毎日新聞>
- <2009年11月11日(水):東京新聞>
- <2009年11月18日発行:ダ・カーポ特別編集>
- 豊崎由美(書評家)
<2009年12月18日(金):週刊読書人> - 渡邊十絲子<2010年2月7日号:婦人公論>
- 大森望(翻訳・評論家)
<2009年10月29日号:週刊新潮> - 大森望(翻訳・評論家)
<2009年:本の雑誌> - 瀬名秀明<2009年12月27日(日):朝日新聞>
- 上野昻志(評論家)
<2010年1月号:1冊の本> - 豊崎由美(ライター)
<2009年:クロブロス> - 豊崎由美(ライター)
<2009年11月8日(日):熊本日日新聞> - <2009年10月20日号:漫画アクション>
- 風間賢二<2010年1月号:ミステリマガジン>
- <2009年:Eiga Hi-Ho>
- 豊崎由美<2009年12月15日号:DIME>
- 豊﨑由美(ライター)
<2010年7月号vol40:hitoiki>
この本の関連書
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「フロム・ヘル 下」の書籍情報:
- B5判/312頁
- 定価 2,730円(本体2,600円)
- ISBN 978-4-622-07492-2 C0079
- 2009年10月10日発行






