みすず書房

記憶の山荘■私の戦後史

THE MEMORY CHALET

判型 四六判
頁数 288頁
定価 3,300円 (本体:3,000円)
ISBN 978-4-622-07594-3
Cコード C0036
発行日 2011年4月21日
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記憶の山荘■私の戦後史

『記憶の山荘』は、これまでのどんな回想録にも似ていない。本書に収められたエッセーが描いているのは、トニー・ジャットの驚異的な精神のふるいにかけられた過去の体験や記憶である。
ロンドンならではのバス路線に寄せる少年の愛着は、公共政策や両大戦間の都市計画についての省察へと展開する。1968年パリの学生騒乱の思い出は、ヨーロッパにおける相異なる「性の政治学」を通して、「われわれは革命の世代だった。が、そのわれわれが、革命の機会を取り逃がしてしまった」と結ばれる。自動車によるアメリカ大陸横断旅行は、アメリカの歴史について深い理解をもたらしただけでなく、ついにジャットを市民権の取得へと導いた。
食べ物や鉄道列車、そして長いこと失われていたさまざまな匂いが、こぞってジャットの注意を引こうと競い合うが、彼はわれわれのために、これらの省察を一連のエレガントな分析に仕上げてくれた。
あらゆるものが簡素で美しく整えられており、まるでスイスの山荘——記憶の山奥にある心やすらぐ隠れ家——のようだ。

目次

まえがき
1 記憶の山荘
2 夜

第一部
3 質素な生活
4 食べ物
5 自動車
6 パトニー
7 グリーンラインバス
8 模倣の欲望
9 ロードウォーデン

第二部
10 ジョー
11 キブツ
12 寝室係
13 パリ・ワズ・イエスタディ
14 革命家たち
15 仕事
16 エリート集団
17 言葉

第三部
18 若者ジャットよ、西へ行け
19 中年の危機
20 囚われの魂
21 ガールズ、ガールズ、ガールズ
22 ニューヨーク・ニューヨーク
23 エッジ・ピープル
24 トニ

おわりに
25 魔の山々

訳者あとがき

書評情報

酒井順子(エッセイスト)
週刊文春「文春図書館」2011年6月30日号
いける本・いけない本
2011年冬号

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