みすず書房

ディアギレフ

芸術に捧げた生涯

DIAGHILEV

判型 A5判
頁数 512頁
定価 8,360円 (本体:7,600円)
ISBN 978-4-622-07654-4
Cコード C0073
発行日 2012年2月16日
備考 現在品切
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ディアギレフ

本書は20世紀の最重要人物を初めて正当に評価した伝記である。ロシアに生まれながら気質はコスモポリタンのディアギレフは、バレエ・リュス(ロシア・バレエ団)を創立して、同時代の芸術すべてに深い刻印を残した。
ストラヴィンスキーに最初のバレエ曲を委嘱したのも、ドビュッシー、ラヴェル、プロコフィエフにバレエ曲を委嘱したのもディアギレフだ。ピカソとマティスは彼のために舞台装置と衣装を手がけた。そしてフォーキン、ニジンスキー、マシン、ニジンスカ、バランシンに、バレエを根本から変えてしまうような傑作を振り付けさせた。ゲイであったディアギレフはそのことを隠さず、愛人たちと、まるで夫婦のように生活をともにした。この天才的興行師は、あるときは情熱的に、あるときは粘り強く活動を続け、世紀末人でありながらキュビスム革命を歓迎し、貴族でありながらロシア革命に共感し、同時に、ロシアからの若い亡命者たちが西欧で芸術家として独り立ちするのを援助した。著者スヘイエンは、何十年も眠っていた膨大なロシア語資料を発掘し、それにもとづいて、あらゆる形の美に身を捧げた人として、そして1929年までロシア魂を失わなかったコスモポリタンとしてのディアギレフをみごとに描き出した。
——リン・ガラフォラ

目次

はじめに——ヴェネツィアに死す
1 頭でっかち 1872-1880
2 啓蒙の成果 1879-1890
3 上がったり下がったり 1890-1891
4 学生時代/トルストイ訪問 1891-1893
5 学生時代/アレクサンドル・ブノワ 1890-1894
6 「セルジュ・ディアギレフ美術館」/サンクトペテルブルク、ローマ、ジェノヴァ、パリ 1894-1896
7 ペテン師にして誘惑者 1895-1898
8 「計画なら売るほどある」 1897-1898
9 「芸術世界」 1898-1900
10 『シルヴィア』大失敗の顛末 1900-1902
11 総決算のとき 1902-1905
12 「同性愛グループ」 1906-1907
13 ボリス皇帝とセルゲイ皇帝 1907-1908
14 バレエ・リュスの起源 1980-1909
15 バクストと誘惑の芸術 1909-1910
16 天才の出現 1910-1911
17 『ペトルーシュカ』 1911-1912
18 スキャンダルへの前奏曲 1911-1912
19 危険な実験の年 1912-1913
20 問題山積の年 1913-1914
21 「決然と、精力的にやろう」 1914-1915
22 革命のオンパレード 1915-1917
23 ヌーヴェリからの手紙 1917-1919
24 破滅寸前 1919-1922
25 モンテカルロからの命綱 1922-1924
26 ソ連の反撃 1924-1927
27 閉幕 1928-1929

訳者あとがき

謝辞
図版クレジット
原註
参考書誌
索引

書評情報

長野由紀(舞踊評論家)
日本経済新聞2012年3月18日(日)
鹿島茂(フランス文学者)
週刊文春「文春図書館」2012年3月8日号
萩谷由喜子
音楽の友2012年5月号

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