みすず書房

日本の200年 上【新版】

徳川時代から現代まで

A MODERN HISTORY OF JAPAN

判型 四六判
頁数 440頁
定価 3,960円 (本体:3,600円)
ISBN 978-4-622-07696-4
Cコード C1021
発行日 2013年4月10日
備考 在庫僅少
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日本の200年 上【新版】

今、アジアの人びとと共有できる「日本史」は、ありうるだろうか。本書は、英語圏では学生たちが教科書として読み、中国語版、韓国語版、ポーランド語版も刊行され、「開かれた」日本史の可能性を示唆してくれる。

ロングセラーだった旧版は2006年に刊行され、徳川将軍家による支配の最後の数十年がはじまった1800年前後から、2000年までを扱っていた。旧版は、英語版の第1版にあたるが、今回の新版は、英語版第3版の翻訳で、ほぼ同時刊行になった。全体的に大幅に改訂され、アジアの視点をいっそう重視する。加えて、2008年のリーマン・ショック、2009年夏の政権交代、2011年の東日本大震災までを論じる、充実した内容になった。

本書のテーマはふたつある。
ひとつは、日本史を、特殊「日本の」物語として理解するのではなく、日本という場で展開された、ひとつの「近代の」物語として理解すること。もうひとつは、日本の近現代史が一貫して、より広汎な世界の近現代史と密接不可分であるという「相互関連性」をつねに織り込んで考えること。

さらに、つぎのような特色がある。
この時期の歴史を物語るにさいして、明治維新の革命、大正期、戦前、戦後、というふうに区切ることとおなじぐらい、あるいはそれ以上に、その前後の政治的、社会的な連続性に注目して、「日本の近現代200年」を、独自な視点で見渡していることだ。そのために、著者はたとえば、戦前、戦中、戦後を一つの時期としてとらえる必要のあるときには、「貫戦期」という表現を使う。
もうひとつの特色は、政治史、社会史、経済史、文化史を、個別にではなく、ダイナミックに織り合された重層的な歴史として、魅力的に語ること。その結果、女性史のさまざまな問題や、野球の輸入と隆盛にまで、十分に目配りした、新鮮な語り口の歴史書が生まれた。

旧版刊行後、日本と、日本を取り巻く環境は、想像を超える変化、緊張を経験し、それはまだ続いている。今後の日本を考えるために、歴史を理解することが、格段に重要になっている。2世紀というスケールで読むと、日本の実像が見えてこないだろうか。
なお、英語の原書には専用のウェブサイトがあるので、ご活用ください。
http://www.oup.com/us/gordon

目次

凡例
日本語版へのまえがき
まえがき

序章 過去が遺したもの(地理と気候/政治制度/近代以前の海外との接触)

第一部 徳川体制の危機
第1章 徳川政体(天下の統一/徳川の政治的施策)
第2章 社会的・経済的転換(17世紀の好況/停滞と活気の謎)
第3章 徳川後期の知的状況(徳川体制のイデオロギー的基盤/文化の多様性と矛盾/改革、批判、造反思想)
第4章 討幕(西欧の列強と不平等条約/徳川支配の崩壊/恐怖と融和の政治/幕府の復活、薩長の反乱、国内の政情不安)

第二部 近代革命 1868-1905
第5章 武士たちの革命(明治革命のプログラム/豊かな国づくりにむけて/世界への姿勢)
第6章 参加と異議申し立て(政治的言説と論争/自由民権運動/士族反乱、農民蜂起、新興宗教/女性の参加/条約改正と国内政治/明治憲法)
第7章 社会、経済、文化の変容(地主と小作人/産業革命/労働力人口と労働条件/教育の普及/文化と宗教/日本人としてのアイデンティティ)
第8章 帝国と国内秩序(帝国への道筋/帝国、資本主義、国家建設の背景/激動の議会政治/都市民衆騒擾の時代/ナショナリズムの醸成)

第三部 帝国日本 興隆から崩壊まで
第9章 経済と社会(戦時景気と戦後不況/地主、小作人、農村の生活/都会の生活 中間階級と労働者階級/社会変化への文化的対応)
第10章 戦間期の民主主義と帝国(政党内閣の出現/立憲政治の構造/イデオロギー面での挑戦/帝国民主主義の統治戦略/日本、アジア、および欧米の列強)

書評情報

エコノミスト「話題の本」
2013年5月7日号
小柳淳(小田急トラベル代表取締役社長)
TRAVEL JOURNAL2016年11月7日

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