みすず書房

日本の200年 下【新版】

徳川時代から現代まで

A MODERN HISTORY OF JAPAN

判型 四六判
頁数 480頁
定価 4,180円 (本体:3,800円)
ISBN 978-4-622-07697-1
Cコード C1021
発行日 2013年4月10日
備考 在庫僅少
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日本の200年 下【新版】

下巻は、第二次大戦から始まり、占領下の価値の大転換から、高度経済成長を経て、21世紀へ。とくに、2008年以降のリーマンショック、政権交代、東日本大震災まで、山積する問題群を位置づける。

今、アジアの人びとと共有できる「日本史」は、ありうるだろうか。本書は、英語圏では学生たちが教科書として読み、中国語版、韓国語版、ポーランド語版も刊行され、「開かれた」日本史の可能性を示唆してくれる。

ロングセラーだった旧版は2006年に刊行され、徳川将軍家による支配の最後の数十年がはじまった1800年前後から、2000年までを扱っていた。旧版は、英語版の第1版にあたるが、今回の新版は、英語版第3版の翻訳で、ほぼ同時刊行になった。全体的に大幅に改訂され、アジアの視点をいっそう重視する。加えて、2008年のリーマン・ショック、2009年夏の政権交代、2011年の東日本大震災までを論じる、充実した内容になった。

本書のテーマはふたつある。
ひとつは、日本史を、特殊「日本の」物語として理解するのではなく、日本という場で展開された、ひとつの「近代の」物語として理解すること。もうひとつは、日本の近現代史が一貫して、より広汎な世界の近現代史と密接不可分であるという「相互関連性」をつねに織り込んで考えること。

さらに、つぎのような特色がある。
この時期の歴史を物語るにさいして、明治維新の革命、大正期、戦前、戦後、というふうに区切ることとおなじぐらい、あるいはそれ以上に、その前後の政治的、社会的な連続性に注目して、「日本の近現代200年」を、独自な視点で見渡していることだ。そのために、著者はたとえば、戦前、戦中、戦後を一つの時期としてとらえる必要のあるときには、「貫戦期」という表現を使う。
もうひとつの特色は、政治史、社会史、経済史、文化史を、個別にではなく、ダイナミックに織り合された重層的な歴史として、魅力的に語ること。その結果、女性史のさまざまな問題や、野球の輸入と隆盛にまで、十分に目配りした、新鮮な語り口の歴史書が生まれた。

旧版刊行後、日本と、日本を取り巻く環境は、想像を超える変化、緊張を経験し、それはまだ続いている。今後の日本を考えるために、歴史を理解することが、格段に重要になっている。2世紀というスケールで読むと、日本の実像が見えてこないだろうか。
なお、英語の原書には専用のウェブサイトがあるので、ご活用ください。
http://www.oup.com/us/gordon

目次

第三部 帝国日本 興隆から崩壊まで(つづき)
第11章 昭和恐慌とさまざまな対応(経済・社会危機/行き詰まりの打開/新政治秩序にむけて)
第12章 戦時の日本(中国での戦線拡大/真珠湾攻撃にむけて/太平洋戦争/総動員体制/戦時下の生活/終戦へ/戦争の重荷と遺産)
第13章 占領下の日本 新展開と不変の構造(忍び難きを忍ぶ/アメリカの方針/日本側の反応/逆コース/復興と独立にむけて)

第四部 戦後日本と現代日本 1952-2012
第14章 経済と社会の変容(経済成長の奇跡/社会、家族、学校、仕事/経験の共有と生活様式の規格化/格差の残存と再編/社会的緊張の緩和と変化の制御/安定と変化)
第15章 高度成長期の政治闘争と決着(政治闘争/和解の政治/グローバルな結びつき)
第16章 多極化した世界のグローバルな大国 1980年代の日本(世界における新たな役割、そして新たな緊張/経済/政治/繁栄の80年代における社会と文化)
第17章 日本の「失われた20年」——1989-2008(昭和の終焉と象徴天皇制の変質/強まる社会分断化の傾向/「失われた10年」の経済/自民党の浮沈/改革の評価、景気回復/アジアと欧米のはざまで)
第18章 2008年以後の日本 衝撃と大災害、そして絶望と希望(リーマン・ショック/希望と幻滅の政治/衰退感覚の解明/3.11巨大複合災害とその後)

訳者あとがき
原注
補遺 日本の首相 1985-2012
索引

書評情報

エコノミスト「話題の本」
2013年5月7日号

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