みすず書房

シェイクスピアの自由

SHAKESPEAR’S FREEDOM

判型 四六判
頁数 316頁
定価 4,840円 (本体:4,400円)
ISBN 978-4-622-07797-8
Cコード C1098
発行日 2013年10月10日
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シェイクスピアの自由

「全体を通して感じられることは、グリーンブラットが本書を通して取り組んでいる問題は、文化の中で生きることに伴う〈不自由さ〉ということであり、そういう不自由を強いる文化の中で、シェイクスピアの作品が一定の自由を感じさせるのは、この不自由さに対してシェイクスピアがきわめて自覚的であり、一方でそういう不自由さと戯れつつ、なおも意識の奥深くにまで浸透した束縛の意味を真剣に探り続けた、その果てしない探究心にあったと考えているように思われる」(訳者あとがき)

シェイクスピアに関するグリーンブラットの議論の多くがこれまで個別の作品を論じていたのに対して、本書はこの劇作家の作品全体に流れる精神の有り様を捉えようとしている。シェイクスピアの生きた時代の絶対主義的な強制は自由な表現への足枷になると同時に、彼の芸術の成立や自由探究の条件にもなっている。また彼は個性もしみもない当時の理想美に反して醜悪なものやグロテスクなものにも逸脱した美を見出そうとしている。他にも、殺人的な憎悪についての探究、権力の行使に対する疑念と受容、芸術作品の自律性などが精細に考察されている。ニューヒストリシズムの驍将による久しぶりの本格的な論考。

書評情報

信濃毎日新聞
2013年12月15日
荒木正純(白百合女子大学教授)
週刊読書人2013年11月22日
富山太佳夫
毎日新聞2014年4月27日

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