みすず書房

復興するハイチ

震災から、そして貧困から 医師たちの闘いの記録2010-11

Haiti after the Earthquake

判型 四六判
頁数 360頁
定価 4,730円 (本体:4,300円)
ISBN 978-4-622-07820-3
Cコード C0036
発行日 2014年3月11日
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復興するハイチ

2010年1月12日午後4時53分、ハイチの首都ポルトープランス近郊を震源とするマグニチュード7の地震が発生した。大統領府や国連本部を含む無数のビルが倒壊。多くの人がコンクリートの下敷きとなり、100万人以上が雨露をしのぐ屋根を失った。死者数は31万6000人に上ると言われる。
カリブ海の小国ハイチは、1804年に世界初の黒人による共和国として建国して以来、苦難の歴史を歩んできた——独立戦争後、裕福な敗戦国フランスが貧しい戦勝国ハイチに課した前代未聞の賠償金、100年にわたるその支払い、米国による民主化の妨害、独裁政権と秘密警察の暗躍、国民の70%以上が1日2米ドル以下で暮らす貧困、そして2004年と2008年のハリケーンによる甚大な被害。その復興の道半ばで起きたのが、この大地震だった。
本書は、ハイチで30年にわたって医療活動を行ってきた著者とそのチームの、今世紀最悪の緊急事態における闘いの記録である。闘う相手は「自然」災害だけではない。判断力を伴わない善意がもたらす弊害、先進国の業者に還流する支援金、政府ではなくNGOに流れる資金、それで「国」を再建するという愚。希望はハイチ人の強靭さと、「より良い再建」に向けた真摯な努力である。今後の大災害やグローバルイシューへの取り組み方を変えうる重要な一冊。

目次

主要登場人物一覧

ネグ・マウォン
苦しみについて書くこと
1 カタストロフィ
2 実践と政策
3 一月一二日とその後
4 現病歴
5 キャンプへ
6 救援から再建へ——より良く再建できるか
7 コレラの時代の復興
8 前を向いて、同時に後ろを振り返って——ルワンダの教訓
9 エピローグ——2011年1月12日

原注
訳者あとがき

書評情報

開沼博((社会学者・福島大学特認研究員))
読売新聞2014年5月25日
渡辺靖(慶応大学教授)
日本経済新聞2014年4月27日
KOKUTAI(医師国試対策)
2014年6月号
宇佐見耕一
ラテンアメリカ・レポート2014年12月