みすず書房

トレブリンカ叛乱

死の収容所で起こったこと1942-43

REVOLT IN TREBLINKA

判型 四六判
頁数 280頁
定価 4,180円 (本体:3,800円)
ISBN 978-4-622-07920-0
Cコード C0022
発行日 2015年7月24日
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トレブリンカ叛乱

ワルシャワの北東90キロほどに位置するトレブリンカ絶滅収容所では、1942年7月の開所から1943年10月に放棄されるまでに、70万人以上のユダヤ人が殺害された。1943年8月2日にユダヤ人特別労務班の叛乱が起こり、収容所内の建物の多くが放火され焼き払われたため、ナチスドイツは閉所を決定、この地は通常の森と農地のように偽装された。そのため、その実態と全貌は、現在もほぼわかっていない。
1942年10月、約7000名のユダヤ人とともにトレブリンカ収容所に移送され、到着後数時間で全員がガス室で殺害されるなか、たった一人特別労務班員としてかろうじて死を免れ、翌年8月の叛乱に加わり脱出、その後を生き延びた数少ない一人である著者は、それから約40年をへた1986年、本書を刊行した。
ガス室に送られた人たちの衣類や所持品の整理にはじまる一年近くにわたる日々の記録は、そこで行なわれた蛮行からシステムのからくり、仲間同士の助け合いまで、死の収容所の実態を生々しく伝える。当事者によるこの記録によって、今まで明らかにされていなかった多くを、われわれは学び知ることができるだろう。

目次


1 見知らぬ地へ
2 遺留品選別整理広場(ソーティング・ヤード)
3 死の収容所(トーデスラーガー)——上の収容所
4 コングレツキ
5 カッツァップ
6 グロドノ
7 牧師
8 シェドルツェ
9 チェンストホヴァにいた姉妹の逮捕
10 抱き合う姉と妹
11 貨車への積み込み
12 ワルシャワから来た少女
13 ルート・ドルフマン
14 クロネンベルク
15 脱走計画
16 金(ゴールド)を掘る
17 偽装隊
18 発疹チフス、襲来
19 巡察
20 鞭打ち刑
21 ギリシャ人たち
22 アルトゥル・ゴルト
23 簡易便所
24 ランゲル
25 ラコフスキ
26 動物園
27 「ザ・ラスト・サンデイ」
28 ワルシャワ・ゲットーからの移送者たち
29 警察官の帽子
30 メリング教授の死
31 医師ホロンジツキ
32 叛乱
33 逃亡
34 レンベルトゥフ
35 ワルシャワ蜂起、1944
36 降伏
37 降伏後

訳者あとがき

書評情報

尾崎俊二(ポーランド現代史研究者)
赤旗2015年10月11日
(書評者を編集)
婦人通信2015年12月