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大人の本棚 第2期

林芙美子 放浪記

著者
林芙美子
解説
森まゆみ

私は宿命的に放浪者である。
私は古里を持たない。

冒頭の有名な一節で始まる林芙美子の『放浪記』は、1930(昭和5)年7月に改造社から単行本として刊行、ベストセラーとなった。その後『続放浪記』『放浪記第三部』と書き連ねた芙美子は、この第一部にもかなりの手を入れ、全三部を併せて決定版とした。現在の新潮文庫版である。
だが、社会の底に生きる若い不服従な女の生命の迸りを描いた改造社版にくらべ、現在の版は洗練された過去の物語になっているのではないか。
「原『放浪記』が一生に一度しか書けない進行形の〈青春の書〉ならば、いま流布している『放浪記』は〈成功者の自伝〉である。文庫の〈決定版〉に魅かれた人は、この〈改造社版〉を読めば、またちがう感動が得られるであろう」(巻末エッセイ・森まゆみ「立ちはだかるもの、すべて栄養――林芙美子の転々」)。
ここに改造社版『放浪記』をおくるゆえんである。


「林芙美子 放浪記」の著訳者:

林芙美子
はやし・ふみこ
1903年5月頃、福岡県門司市で行商人、宮田麻太郎・林キクの子として生まれる。正確なところはわからない。1922年、尾道高等女学校を卒業後、岡野軍一を追って上京、事務員・女工・女給などの職を転々としながら詩を書きはじめる。1928年10月『女人藝術』に「秋が来たんだ――放浪記」の連載を開始、この連載を元に改造社から1930年7月に新鋭文学叢書の一冊として刊行された『放浪記』はベストセラーになった。同年11月に『続放浪記』を同じく改造社から、戦後の1949年には『放浪記 第三部』(留女書店)をそれぞれ刊行した。1951年に47歳で急逝するまで、第一線の女流作家としての活躍を続ける。作品は他に「風琴と魚の町」「清貧の書」「晩菊」「めし」「浮雲」など多数。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
森まゆみ
もり・まゆみ
1954年東京都文京区動坂に生まれる。早稲田大学政治経済学部卒業。地域雑誌「谷中・根津・千駄木」編集人。主な著書『谷中スケッチブック』『不思議の町・根津』『「谷根千」の冒険』(ちくま文庫)『鴎外の坂』『明治東京奇人傳』(新潮文庫)『一葉の四季』(岩波新書)『森の人 四手井綱英の九十年』(晶文社)『大正美人伝――林きむ子の生涯』(文藝春秋)『アジア四十雀』(平凡社)『寺暮らし』『その日暮らし』『人間は夢を盛る器』(みすず書房)ほか多数。最近作に『「即興詩人」のイタリア』(講談社)『東京遺産』(岩波新書)などがある。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

この本の関連書


「林芙美子 放浪記」の画像:

林芙美子 放浪記

「林芙美子 放浪記」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/280頁
定価 2,520円(本体2,400円)
ISBN 4-622-08044-3 C1395
2004年2月5日発行

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