みすず書房

「あの人のこと、この人のことと、返らぬ日の押し花を見出して追憶にふけるに似た思いをしばらく書きつづけていると、さながら人物博物館のなかをさまよっているようで、まことにどうも…このごろの晴雲さだまらぬ梅雨空のせいもあって、どうやらジメジメした気分に私自身もなる時がある。」

少女小説の人気作家とは違う面を十全にみせた人物エッセイ。吉屋信子の「見た」人々は、田中正造、三浦環、新渡戸稲造、小林一三、大杉栄、モルガンお雪、張学良、坂田三吉、湯川秀樹夫妻、古今亭志ん生など、各界にわたって五十人を越える。昭和の時代を彩った有名人を、良妻賢母の枠を破って鋭く観察し記録した稀有な作品である。

目次

田中正造
万龍・照葉
徳富蘇峰
三浦環
新渡戸稲造
小林一三
グラーツィア・デレッダ
大杉栄
九條武子
モルガンお雪
直木三十五
中村吉右衛門
宮城道雄
九條日浄尼
横綱玉錦
與謝野晶子
菊池寛
高橋箒庵
汪兆銘
張学良
沢村宗十郎
坂田三吉
春日とよ
中谷宇吉郎
久米正雄
平出英夫
長勇
田村俊子
美濃部達吉夫妻
関屋敏子
高浜虚子
徳富愛子
及川道子
近松秋江
竹久夢二
湯川秀樹夫妻
古今亭志ん生
森律子
中村歌右衛門
井上正夫
羽仁もと子夫妻
徳田秋声
大倉喜七郎
藤蔭静樹
小波と水蔭
菅原時保
市川猿翁

あとがき

書評情報

ウーマンズアイ
Vol. 195

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