「改めてこの本のタイトルを眺め、その内客を確認していると、英文学の研究を専門としている者の作る本としては少し異例なものであるような気がしてくる……この本に収録した論文とエッセイをつないでいるのはヴィクトリア時代の文化、人種間題、ダーウィニズム、批評の方法論、歴史(学)といった線。それらはあまりにも雑然としていて、相互のつながりが見えにくいかもしれないが、私の雑学的言説の中では強烈につながっている。できあがったのは一種の自伝的なエッセイ集とでも言えばいいのだろうか」(あとかき)。
なぜ彼女たちは食事をとらないのか? ルイス・キャロルはどうして動物の生体解剖にあれほど強く反対したのか? アイルランド人と黒人はどう関わるのか? 英国においてホッテントットのヴィーナスはどうしたか? アメリカの現代思想と語学力の関係は? 批評家ソンタグはその敬愛するバルトとどこが、どう違うのか? 他にも、ヴァージニア・ウルフの歴史感覚、エーコ『薔薇の名前』の精妙な分析、セリーヌとユダヤ人問題、アクーニンの推理小説の魅力など、刺戟的な論考=エッセイを集成。アカデミックな第一級の成果と発見の悦びに満ちた知的エッセイの稀有の融合。