みすず書房

◆中井久夫が発表した文章(1964-2012)を年代順に編集し、全11巻で構成
◆精神医学の高度の専門論文、みすず書房刊『最終講義』『西欧精神医学背景史』、および他社刊行の『分裂病と人類』『精神科治療の覚書』『治療文化論』などの単行本は除く
◆底本は単行本(および文庫版)に依拠し、単行本収録のさいに加えられた文章などもほぼそのまま収載
◆『記憶の肖像』(1992)以後のみすず書房刊の単行本に収められた文章、また、それ以前は『中井久夫著作集』(全6巻、岩崎学術出版社、その後一部「ちくま学芸文庫」)および『精神科医がものを書くとき』(全2巻、広英社、その後一部「ちくま学芸文庫」)に収められた中から主要なものを収録。単行本未収の文章も少々含む
◆2017年1月刊行開始 3カ月に一冊を巻数順に刊行

刊行のことば

日本の精神医学に新たな道を切り拓き、透徹した理性と柔軟な感性、研ぎ澄まされたアンテナ感覚で人と時代を捉えてきた精神科医・中井久夫。専門論文であれ、エッセイであれ、小サークルに向けたことばであれ、区別することのないその気品あふれる文章は、詩集を始めとする翻訳ともども、多くの読者の心に響いた。
1964年にペンネームで発表した論考から東日本大震災以後まで、半世紀にわたり世に届けつづけた作品の数々をここに年代順に編み、著者の歩みの一端を共有したいと考える。

中井久夫(なかい・ひさお)

1934年奈良県生まれ。京都大学医学部卒業。神戸大学名誉教授。精神科医。
著書『中井久夫著作集――精神医学の経験』全6巻・別巻2(岩崎学術出版社、1984-91)『分裂病と人類』(東京大学出版会、1982、2013)『精神科治療の覚書』(日本評論社、1982、2014)『治療文化論』(岩波書店、1990)『こんなとき私はどうしてきたか』(医学書院、2007)『私の日本語雑記』(岩波書店、2010)『日本の医者』(日本評論社、2010)ほか。
みすず書房からは、『中井久夫集』に収録しない『最終講義』(1998)『西欧精神医学背景史』(1999、新装版2015)以外に、16冊の単著、3冊の共著がある。翻訳書も、みすず書房からサリヴァン、ヴァレリー、カヴァフィスなど20冊以上を刊行。